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【特集・コロナ危機と大学】
コロナ危機と幼稚舎の対応/杉浦 重成

2020/08/06

卒業式と入学式の挙行

修学旅行が中止になり、突然の臨時休校で幼稚舎での最後の日々が失われた6年生に対し、何とか卒業式だけは講堂の自尊館で行いたいと強く願っていた。

感染症対策を十分に検討した結果、3月20日に学年4クラスを1クラスずつ計4回の卒業式を挙行することにした。挙行については異論もあったと思うが、ささやかではあるが「幼稚舎の6年生」として送り出せたのではないかと思っている。また、今年度の入学式は7月4日に挙行した。1年生はすでに6月15日から登校していたが、児童や保護者にとって大きな節目であると思い、卒業式同様に感染症対策を施した上で、クラスごとに分かれて挙行した。

おわりに

「備えあれば憂いなし」の言葉通り、「CONPAS-S」メールシステムやKYPS、児童1人ずつがiPadを有していたことは、現在に至る混乱の中でも児童や保護者が学校や教職員と結び付く手立てになったことは幸運であった。今後の幼稚舎の授業形態を考えることにおいて、児童の登校が必要な対面型の授業と情報機器を用いた遠隔型の授業とが併用できることが判ったことは、これから大いに研究されるべきであろう。

実践された方法や内容を十分に精査し、新たな幼稚舎の授業形態を模索し、確立することに通じるかもしれない。ICT教育の拡充と併せてさらなる検討を重ねていきたいと考えている。

新型コロナウイルス感染症の終息まで長期に及ぶことを心得、段階的に学校生活が取り戻せるよう、これからも何より「児童の『安全』と『健康』を守る」ことを念頭において対応していきたい。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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