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【特集:日本人の「休み方」】
休み方上手は働き方上手

2019/04/05

3 マインドフルネスの獲得

では、どうすれば、マインドフルネスの状態を維持できるのか。一番簡単なトレーニング方法は、呼吸に注意を向けることだ。1分から5分、リラックスしながら、ただいま行っている呼吸だけに意識を向け、「吸う」「吐く」のプロセスをたどっていく。意識を向けている状態とは、ただ、呼吸を感じている状態でもあり、観察している状態とも表現できる。結果として、いわゆる雑念と言われる余計な思考や感情が少なくなる。雑念を無理に追い払おうとすると、それがさらなる雑念となり、雑念がずっと続くというパラドックスに陥るので、ただ、呼吸を感じること、観察することに意識を戻していく。

習慣的に続けていくと、1分から5分だけでも、マインドフルネスの状態を獲得できるようになる。人によってはそれがクリアな思考、クリアな心の状態でもあると表現される。できれば、もう少し長く、5~10分の時間をとり、呼吸に注意を向け続ける、いわゆるマインドフル瞑想を日常の習慣とすることをお勧めする。

4 休むことで仕事も人生も豊かに

支援をさせていただいている企業の経営者、経営幹部ほど、マインドフルネスは必須であると言う。なぜならば、数多くのスケジュール、タスクをこなす中で重要な意思決定を毎日行わなくてはならない彼らにとって、余計な感情に惑わされず、クリアな思考を常に維持できるか否かは、自社の将来を左右することであると理解しているからだ。忙しい日常の中でたった5分の休みの時間をとり、呼吸に注意を向けるだけで、心身の状態も維持しやすくなる。また、クリアな思考から生まれる数多くの気づきが仕事だけでなく人生も豊かにしてくれることだろう。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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