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【特集:日本人の「休み方」】
休み方上手は働き方上手

2019/04/05

  • 荻野 淳也(おぎの じゅんや)

    一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事・塾員

私は企業などの組織において、組織開発やリーダーシップ開発に従事しているが、働き方改革、健康経営というテーマでの研修や講演依頼が増えている。グーグル(Google)をはじめとした欧米の先端企業では、マインドフルネスという状態を活用した組織開発、リーダーシップ開発が数多く実施されており、弊社はそのプログラムを日本企業100社以上に導入しているが、このマインドフルネスが社員の心身の健康にも効果があるという認知が広がりつつある。

1 脳の休ませ方

ハーバード大学のキリングワース氏らの研究では、人が働いている時、その時間の47%はその時行っている仕事と違うことを考えているという結果がある。つまり、頭の中は、今行っている仕事に集中できておらず、とっ散らかって・・・・・・・いる状態なのだ。PC作業をしているようで先ほどの部下の報告の仕方を思い出しイライラしていたり、ミーティングの最中にその議事に集中せず、メールをチェックしていたり、報告する自分の資料をチェックしていたり、といったことは、読者も身に覚えがないだろうか。今の目の前のことに集中できず、注意が散漫になっているのだ。

この時、脳は、デフォルトモードネットワーク(DMN)という複数の脳の部位が活性化している状態であり、エネルギーを多く消費しやすいとも言われている。つまり、とっ散らかっている状態、ぼーっとしている状態は、脳が休んでいないのだ。スケジュールやタスクに追われ、また将来も不確かな現代では、無意識のうちに不安や恐れを抱えている状態も多く、一層頭は散らかりやすい状態ともなり、ストレスを多く抱え込むことになるのである。

2 マインドフルネスとは

こうした心身の状態に対して、注目されているのがマインドフルネスだ。ダボス会議(世界経済会議)でもマインドフルネスのセッションが行われたり、ビル・ゲイツが自身の記事で紹介するなど、世界のエグゼクティブに浸透しつつある。マインドフルネスとは「今に気づいている状態」を指す。別の表現をすると、「今の自分の心や体、思考、周囲の状態に対して、批評や判断を加えず、注意を注いでいる状態」であり、リラックスしながらも集中している状態でもある。目の前のことに注意が注がれている時、脳は、実行機能を司る前頭前皮質が活性している。マインドフルネスの状態を維持できると、注意力や集中力が増す。また、物事に集中した結果、余計な不安や恐れが少なくなり、ストレスの軽減にもつながる。

マインドフルネス研究のメタ分析では、マインドフルネスは注意力・集中力の向上、感情の制御、自己認識力の向上を促すと言われている。また、共感をベースにしたコミュニケーション向上、ストレス軽減、免疫力の向上に効果があるとも言われている。自己認識力はリーダーが開発すべき最も重要な能力とも指摘される。効果的な組織の要素として注目されている心理的安全性を醸成するためにもマインドフルネスは必須であると私は考えている。

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