【特集:薬学部開設10周年】
創薬研究センターの展開
2018/10/05
創薬研究センターの目的は、研究成果による社会貢献と創薬を先導する人材育成である。このため、2014年に創薬研究センターを設立し、活動拠点として学内に「創薬研究センター・ラボラトリー」を整備し、先端研究の実施と研究戦略の科学的立案に取り組むネットワーク・ハブを形成した。これらの取り組みは、特許出願や企業との共同研究に結びつくなどの成果を挙げてきたが、2017年度からは、プロジェクト制を導入して運営体制のさらなる強化に取り組んでいる。各プロジェクトでは薬学部教員がリーダーとなり、企業や国等の研究機関、塾内外の研究者と、特定の先端創薬研究や先端技術開発に向けたコンソーシアム構築を行っている。現在までに次の3つのプロジェクトが活動をスタートしている。
創薬メタボローム研究プロジェクト
プロジェクトリーダー:有田誠教授。連携企業等:株式会社島津製作所、小野薬品工業株式会社、日東薬品工業株式会社、サントリーウエルネス株式会社、など。
最先端の質量分析技術を揃えた創薬イノベーションの研究環境を整える。その中で、創薬シーズの探索・評価、新技術開発を行い、「次世代を担う研究者を輩出する薬学部」という構想からの人材育成に取り組む。また、外部アカデミア機関との共同研究のプラットフォームとして活用し、我が国の創薬基盤研究の推進に貢献する。
抗体免疫先進研究プロジェクト
プロジェクトリーダー:長谷耕二教授。連携企業等:協和発酵キリン株式会社など。
希少難治性疾患や慢性炎症疾患などに対するアンメッドメディカルニーズに応え、健康長寿社会の実現に貢献することを目的とする。薬学部や他キャンパスにおいて培われてきた疾患治療標的分子に対して、産学連携で次世代抗体医薬の研究開発を実施するとともに、新規抗体医薬の技術開発を行い、創薬分野における卓越した人材の育成を目指す。
プレシジョンメディシン分子診断プロジェクト
プロジェクトリーダー:金澤秀子教授。連携企業等:株式会社日立ハイテクノロジーズなど。
薬学部の持つ分析化学的技術を活かし、分子診断システムの先端研究プラットフォームの構築を行う。また、薬剤に関する知識を基に、分子診断から投薬等の治療方針決定プロセスを最適化する支援技術の開発を行う。これらの取り組みを通して、次世代ゲノム医療に貢献する優れた人材を育成する。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
2018年10月号
【特集:薬学部開設10周年】
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三田評論のコーナー |
三澤 日出巳(みさわ ひでみ)
慶應義塾大学薬学部創薬研究センター長、薬理学講座教授