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【特集:NPOの20年】
NPOの社会的インパクト評価

2018/11/05

社会変革を実現するNPOセクターの「社会的責任」

こうしたNPOに対する社会的インパクト評価が社会における大きなアジェンダになったということは、何を意味するのだろうか。一つは、民主党政権下の「新しい公共」の議論に象徴されるように、NPOが新しい社会を構成する1つのアクターであるという認知が生まれたことだろう。単に行政を補完するだけではなく、社会的課題の解決を担う重要な構成員として、その成果を一定の透明性をもって測り、発信していく社会的責任がある。

NPOは社会イノベーションの源泉としても位置付けられる。行政が「政府の失敗」、ビジネスが「市場の失敗」で実現できない社会的価値を体現するイノベーションを生み出す、潜在的な社会的役割を持っている。そうした潜在性を実際に発揮するため、行政や企業と対等なパートナーシップを組む存在としてのNPOには、一定の水準の説明責任や組織的な基盤と実行力、そして社会的インパクトに対するコミットメントが問われているのである。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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