【三人閑談】
魔法少女に恋して
2026/02/25
魔法少女のこれから
石井 先ほど、海外で魔法少女ものは受け入れられにくいというお話がありましたが、魔法少女ものの作品というのは、海外にはないのでしょうか。
鷲尾 ありますね。『パワーパフガールズ』という、アメリカで作られた作品がありますが、これは人気が高いです。
杉山 日本でもリメイクされていましたね。
鷲尾 ただ、製作者いわく、あれは日本の魔法少女ものをモチーフにして作ったと言っているそうです。
杉山 お互いに参照し合っているので、どちらが先というのも、もはやわからなくなっているかもしれませんね。『サリー』も、アメリカのTVドラマである『奥様は魔女』がヒントとなったと言われていますね。
鷲尾 もっと古くからは、ディズニーですよね。あそこから派生して日本風にアレンジしていったものが、魔法少女ものの原点になったのではないかと思います。
今、ヨーロッパでは『Winx Club』というイタリアで作られた番組が長く続いていて、今や第8シーズンまで続いているんです。それから『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』。これはフランスで作られた作品ですが、実はパイロットフィルムは東映が作ったんです。
杉山 3DCGのアニメーションですよね。
鷲尾 この作品の製作者ともミーティングをしたことがあるのですが、彼らも日本のアニメーションの大ファンで、なんと『ハートキャッチプリキュア!』を見て、自分たちもこういう作品を作りたい! と思ったことがきっかけだったそうです。
もはやワールドワイドで混合してしまっているので、どれが原点なのかということは、もうわからなくなってきてしまっている。
石井 今挙げられた作品というのは、ヨーロッパでは人気なのですか。
鷲尾 人気は高いです。特に『レディバグ』はヨーロッパでものすごく受け入れられて、アメリカでも輸入されました。
石井 日本でも見られているのですか。
鷲尾 ファンは多いようですが、どちらかというと少し上の年齢層の人たちが見ているようです。日本は大人と子どもの境目が曖昧で、大人になっても見ている人が多い。
杉山 以前に読んだ特撮変身ヒーローに関する論考で、今では「大人」は「子どもの遊び」を断念するべきだという文化が継承されなくなっているという指摘があったことを思い出しました。
鷲尾 今の大人は、アニメーションを見て育った世代でしょうからね。そうなると、その中に自分が見てもいいというものがあった場合は続けて見るでしょうし、子どもに対しても、別に分け隔てなく見ることを許容すると思います。
ただ海外でもそれに近しいことがもう起こり始めています。アニメーションのイベントがあると大人が普通に参加しているし、コスプレもしている。世界共通の傾向が強まってきているのではないかと思います。
石井 そう思いますね。
杉山 その点、逆に『プリキュア』の普及がまだ難しい、ということのほうが不思議ですよね。
鷲尾 そうですね。もしかしたら、日本の日常が物語のベースにあることが、理由としてあるかもしれません。
あれだけ知名度の高い『ドラえもん』でさえ、アジアより向こうにはなかなか浸透しないというのも、それが理由かもしれないですね。
石井 作中の設定が、純日本の生活環境だから。
鷲尾 そのあたりを突破できれば、受け入れてもらえる可能性はあると思います。
(2025年12月10日、三田キャンパスにて収録)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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