【三人閑談】
フラメンコに恋して
2020/01/27
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廣重 有加(ひろしげ ゆか)
カンタオーラ(フラメンコ歌手)。2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業。SFCスペイン舞踊部でフラメンコを始め、卒業と同時にスペインのクリスティナ・ヘレン財団芸術学院へ留学。現地公演でも好評を博し、現在、全国の劇場にて活動中。
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安藤 万奈(あんどう まな)
慶應義塾大学非常勤講師(スペイン語)。東京大学大学院教育学研究科比較教育専攻博士課程満期退学。マドリード・コンプルテンセ大学留学。在スペイン日本大使館専門調査員(広報文化担当)を経る。スペイン北部の民族楽器「ガイタ」を演奏。
フラメンコと出会って
伊集院 私はSFCに合格してキャンパスに来た時にフラメンコサークルの部員募集ポスターを見て「よし、入会しよう」と思ったのがフラメンコとの出会いです。
高校時代の担任の先生から「なんか踊りとかやったら似合うんじゃないの?」と言われていたこともあって、これかなと。その時までフラメンコは観たこともなかったんですけれど(笑)。
安藤 すぐに踊れるようになってしまったとか。
伊集院 いや、そんなことはありませんが、楽しくてリズミカルなところがすごく性に合いました。
廣重 私も体を動かすことが好きなのに、運動のセンスがなかったのでダンスに憧れがあり、伊集院さんと同じSFCのサークルに入りました。そうしたらはまったというか。
安藤 廣重さんも踊りから入ったのですか?
廣重 そうなんです。踊りを1年ぐらいサークル内でやっていたんですが、そう簡単に踊れるようにはならなくて。上手にならないのでどうしようかなと思った時、歌の先輩が1人しかいなかったんです。
それで、歌が歌えるようになったらサークルの中で重宝されるだろうと思ってやってみたら、踊りより向いていたみたいで、3年生の時に、「タブラオ」という、フラメンコをやっているショーレストランで初めて舞台に立ったんです。
安藤 それはすごいですね。
廣重 その時、歌を習っている先生に「フラメンコで食べていけますかね」と聞いたら、「大丈夫、大丈夫」と言われて今に至るという感じでしょうか(笑)。
伊集院 フラメンコは「ギター」と「カンテ(歌)」と「踊り」で三位一体と言われていますが、もともとはやっぱり歌だと思いますね。フラメンコの起源を簡単に言えば、いわゆるヒターノ(ロマ民族)の方たちがインドの方から放浪してきて、スペインの南のアンダルシア地方にたどり着き、現地の民族芸能を吸収してできた、と言われています。
安藤 意外と歴史は浅く、おそらく19世紀ぐらいに現在の原型ができたと言われていますね。
伊集院 当初は歌だけで、それに合わせて、だんだんと踊るようになっていったのだと思います。ギターは高価なので、おそらく後から入ってきたのではないかと。
安藤 一番最後と言われていますね。それまでは手拍子、指鳴らし、掛け声だけでした。だから、三位一体とおっしゃいましたが個々でももちろんできますね。
廣重 カンテソロとしてギター伴奏なしで歌う歌もあります。
伊集院 曲種もトナというもののように無伴奏で歌われるような形式もありますね。ただ、やはり踊りは、基本的に歌とギターがあったほうがやりやすいですね。
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伊集院 史朗(いじゅういん しろう)
フラメンコ・ダンサー(バイレ)。1998年慶應義塾大学環境情報学部卒業。SFCスペイン舞踊部でフラメンコに出会う。98年渡西。2001年日本フラメンコ協会主催新人公演にて奨励賞受賞。現在、全国の劇場で活動し、後進の指導にもあたる。