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【三人閑談】
「アメコミ」のちから

2018/11/26

アメコミ映画のリアリティ

杉山 『ジャスティス・リーグ』も『アベンジャーズ』(2012年)も、最初にヒーローたちが集まると、皆仲が悪くてなかなかまとまらない。うちの会社も社内横断プロジェクトをやると、大体あんな感じなんですよ(笑)。それをまとめていくバットマンの大変さはよく分かります。

菅家 そこが『アベンジャーズ』のおもしろさでもあったかなと。5人が集まったはいいけれど、議論をしているうちにハルクが暴れだしたり。

杉山 そうそう(笑)。

菅家 皆で集まって大きな物事に取り組もうとするときの私たちの姿とあまり変わらない。

杉山 『アベンジャーズ』も『ジャスティス・リーグ』も、宇宙人が英語をしゃべっている段階でリアリティはないんですけど、ヒーローたちが出会うところなどには妙なリアリティがありますよね。

菅家 そうですね。あまり評判はよくないのですが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)も私は結構好きです。

杉山 僕は、すごく好きですよ。

園田 僕も好きです。評判よくなかったんですか。

菅家 なんかアイアンマンがあまりかっこよくないとか、「キャプテン・アメリカ」が影が薄いとか言われて。

杉山 原作コミックはもう少しポリティカルな話なのに、映画のほうはエモーショナルな話に振っているから、原作が好きな人は不満だったのかもしれないですね。

原作コミックは、「超人登録法」(Superhuman Registration)というのが愛国者法とか、銃規制のメタファーになっているんですが、映画はそのあたりはどうでもよくなっているんです。

アメコミブームの到来

杉山 僕みたいにアメコミがずっと好きだと、今のブームがよく分からないんですよ。昔はアメコミ好きなんて、一都道府県に1人ぐらいと言われていたから(笑)。

園田 日本では『アベンジャーズ』からじゃないでしょうかね。『アイアンマン』(2008年)もそこそこヒットしましたけど。

菅家 サム・ライミ版の『スパイダーマン』(2002年から)で結構広まった感じがします。テレビでもこのシリーズは再放送されていて。

園田 でも『ハルク』(2003年)とか、『グリーン・ランタン』(2011年)はあまりヒットしなかったですよね。杉山さんは『グリーン・ランタン』は好きだと書かれていましたが。

杉山 『グリーン・ランタン』はDCの中では非常に分かりやすい。

菅家 夫が『グリーン・ランタン』すごく好きなんです。

杉山 いいご主人じゃないですか! 『グリーン・ランタン』は愛すべき映画です。僕が唯一、英語で空で言えるのが、「グリーン・ランタンの誓い」ですからね(笑)。

主役のライアン・レイノルズは、後に『デッドプール』(2016年)をやりますね。

菅家 『デッドプール』は好きです。『2』(2018年)は特に(笑)。

杉山 でも「MARVEL」のTシャツを着た女の子をこんなに街で見かけたり、「東京コミコン」なんてイベントが開催されたり、夢みたい。

菅家 今の子は「MARVEL」のバックパックとかも持っているんです。本人に聞くと、特別にマーベルが好きというわけではないけど、なんかかっこいいという感じですね。

園田 おしゃれなアイテムになったと。

菅家 はい。だからTシャツにスパイダーマンとか、キャプテン・アメリカのシールドが書いてあるのが、H&Mとか、ファストファッション系の店で売っているんです。そういうものを身につけているけどオタクじゃない。

園田 分かって着ているのですか。

菅家 一応知っているんですけど、詳しく聞くと、『アベンジャーズ』も「たくさんの人がいっぱい出ている」ぐらいにしか思っていなかったりする(笑)。

杉山 でも、一つの文化が広がっていく過程では、それはいいことですね。

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