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【三人閑談】
サウナで "快汗"!

2018/08/31

サウナは心の鎧を溶かす

織茂 今、企業にも「サウナ部」というのがあったりするんですね。

原山 自発的にいろいろなところから出てきたいみたいですね。

大泉 初対面で話をすると、「僕もサウナーなんですよ」と言う方が結構いらっしゃいます。

織茂 そういった若いお客様は基本的に「いいお客さま」なんですよ。お金を使うという意味ではなく、マナーがよく、入り方もよく分かっている。自分の汗を撒き散らさないし、他の人もちょっと真似したくなるような入り方をしてくださる。

原山 昔、よく会社帰りに一杯飲んで、「じゃあ、サウナでも行くか」みたいな流れがあったと聞いています。要するに上司が部下をサウナに誘う。

織茂 うん、もちろんね。

原山 サウナって基本的に素っ裸で入るじゃないですか。サウナは心の鎧を溶かすものだと言われるのですが、裸になるとやはり距離感が縮まるということはありますよね。

フィンランドはサウナを外交に使っていたりするんです。要人を招き入れて、公邸や大使館などでサウナに一緒に入る。そういう本来の使い方にたぶん、今の若い人たちが気付いたのだと思います。

織茂 コミュニケーションの場ですね。

原山 ええ。サウナ部では部長も平社員も裸でしょう。全く同じ目線で語り合える場として有効なのではないですか。A社さんのサウナ部がB社さんのサウナ部と一緒にサウナに入って交流を求めたり。

大泉 それ、いいですね。

原山 そういう楽しみ方をする若い方が最近増えている、とは言えると思います。

織茂 サウナ室の中だから、居酒屋に比べれば、そんなにたくさんしゃべるわけでもない。だから気楽な面もあるのかもしれないですね。

原山 逆に、湯船の中では絶対しゃべらないですよね。サウナ室だから一言二言、会話ができる。そこはサウナのほうが優れている。

大泉 そうですね。フィンランドでも皆そこでおしゃべりしている感じですね。そして、出た後の外気浴。外に出たところで休めるスペースが絶対あって、皆そこで結構話をしている。

原山 それがすごくいい雰囲気なんですよ。試合の後のロッカールームみたいな感じで、ウォッカを飲んだり、チェスをやったりして。

サウナは危険か?

織茂 意外とサウナ室で倒れてしまう人はいないんです。問題は出てからです。それよりもずっと危ないのは浴槽のほうです。

原山 そう、浴槽のほうがよほど危ない。サウナで事故が起こるときだけ取り上げられるけど、浴槽のほうが何百倍と事故が起こっています。

織茂 温泉なんかどれだけ事故が起きているか分からないですよ。

原山 西城秀樹さんが十何年前にサウナで倒れたことが、今でも取り上げられる。レアケースなのに、何か危険だという雰囲気を植え付けているんですよね、誰かが(笑)。

大泉 やはりサウナは悪いものだというイメージがあるんでしょうね。

織茂 でも、今の若い人たちはサウナ室の中で無理していないじゃないですか。昔のおじさんたちみたいに汗撒き散らすこともなく。

大泉 そうですね。

織茂 水に飛び込むおじさんたちは、「すげえだろう」という顔をしながら飛び込んでいますけどね(笑)。

原山 でも、若い人たちからすると、60、70のおじいさんと閉鎖的な空間で一緒になることって非日常だと思うんですよ。僕はそれもいい経験なのではないかと思う。全然知らない人と世代を超えて話をすることも当然あるわけですから。サウナ室で一言、「よく汗出ていますね、今日は」とか。

大泉 アメリカのLAのコリアタウンにある韓国風サウナに1人で行ったんですが、国籍とか全く関係ないんですね。黒人も白人もアジア人も、タトゥーが入っている人も子供も、皆が真っ裸で同じ空間にいる。非常にピースフルな空間だと感じました。

そういった閉鎖的な空間に真っ裸でいろいろな人が集まれる。誰も武器は持っていない状況で一緒にいられるというのは、すごく素敵な空間だなと思いますね。

原山 本当にそう思います。まさに丸腰で。

でも、だいたい映画でヤクザが殺されるシーンはサウナです(笑)。あれはよくない。

織茂 撮影に使わせてほしいと頼まれたことがありますよ(笑)。

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