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【三人閑談】
サウナで "快汗"!

2018/08/31

  • 織茂 明彦(おりも あきひこ)

    横須賀建物株式会社(サウナトーホー)代表取締役、公益社団法人日本サウナ・スパ協会副会長。1976年慶應義塾大学経済学部卒業。卒業後、横須賀建物に入社し、サウナトーホーを開店。横須賀三田会副会長。

  • 原山 壮太(はらやま そうた)

    株式会社電通第15ビジネス・プロデュース局部長。一般社団法人日本サウナ総研研究員。1991年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。「プロサウナー」を自称し、サウナの普及に努めている。

  • 大泉 寛太郎(おおいずみ かんたろう)

    ミズジャパン株式会社代表取締役。株式会社大泉工場代表取締役社長。2004年慶應義塾大学経済学部卒業。2016年ミズジャパンを設立。テントサウナの販売、サウナ文化の普及に努めている。

「サウナに行こう」

織茂 私は運悪く、オイルショック後、非常に景気の悪い時期に卒業し、就職先がなくて父親の会社に入りました。それで「ちょうどサウナを開店するから、おまえ、店長をやれ」と言われて(笑)。サウナが何だか分からないままに始めたんです。

原山 そうだったんですね。

織茂 あの頃のサウナというのは100度ぐらいの電気サウナで、拷問みたいなやつ(笑)。マッサージのためと、お金持ちが飲みに行く前に寄る場所だったのです。

それが、そのうちに泊まる場所となり、そして現在、低温でロウリュ(熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させること)を楽しむようになってきました。今は若いファンが喜んでくださっている。まさかこんなふうになるとは思わなかったので感動しています。

原山 私の父は大のサウナ好きで、しょっちゅうサウナに行っていました。父から「遊びに行くぞ」と言うのは、「一緒にサウナに行こう」みたいな話で(笑)。最初は「熱い部屋に入るのはいやだな」と思っていましたが、連れられて行くうちにだんだんサウナが好きになっていったんです。

会社に入ってからは、サウナは疲れた体を癒やす避難場所として活用させていただいていました。少し余裕が出てからは、全国、さらに世界中のサウナに興味をもって足を運び、その魅力に憑りつかれました。

自分を助けてもらったサウナに恩返しをしたい、サウナの普及に少しでもお手伝いがしたいとの思いから、『Saunner』(2014年)というムックを出版しました。またサウナについていろいろな研究を進めたいと思い、日本サウナ総研というものを設立して活動しています。

大泉 私がサウナに出会ったのは、社会人1年目です。ある日上司に連れて行かれて、初めはものすごくつらかったのですが、サウナに入った後、水風呂に入り、そのあとちょっと休んでいるときに体中が解放されるような快感に出会ってしまった。「これはなんて気持ちいいんだ」と、それ以来、週に1回はサウナに行く生活がスタートしました。

その後、旧友と10年ぶりぐらいに会って飲んでいたら、「実はサウナが好きなんだよね」と言う。当時、同世代にサウナが好きな人間がいなかったので、すっかり意気投合して。

織茂 同志を得たわけですね。

大泉 彼と「いつかは自分たちの好きなサウナ屋さんをやりたいね」と話していたのですが、やはり本場のフィンランドを知らなければと、フィンランド大使館に行きました。

すると、大使館の方に「フィンランドのサウナをやりたいなら本場に行かなければ駄目だよ」と言われました。そこで仲間3人でフィンランドに飛び、日本のサウナとフィンランドのサウナの違いを肌で感じて「ミズジャパン」という会社を作り、フィンランドのサウナを普及させる事業をしています。

「ととのった」状態とは

織茂 はっきり言って、バブルの時のサウナは酔っぱらいの仮眠宿所で、それが収入の8割ぐらいを占めていました。まだ携帯電話がなかったので、昼間は、個人の不動産業者さんが事務所代わりに使っていて、情報交換の電話がかかってくるんですよ。もう店中の電話が皆、不動産屋さんが受けている状態でした。

大泉 すごいですね。

織茂 それがバブルがはじけてだんだん駄目になっていった。でも、そのうちにロウリュを中心とするフィンランド風のサウナが流行りだし、サウナにプラスのイメージを持ってくれる若い人たちが出てきました。

そして、日本サウナ・スパ協会が大口スポンサーとなって、原山さんたちが出した『Saunner』というムックでイメージが一気によくなったんです。

原山 それまでサウナって、満員電車で蒸し暑いと「サウナ状態だ」と言ったり、「サウナで倒れた」ということが枕詞のようになって危険なものだと思われたり、ネガティブなイメージがすごくあった。こんな素晴らしいものがなぜネガティブに扱われているのか。そのイメージを変えたい、というのが『Saunner』のコンセプトでした。「スカッと爽やかに、気持ちよく」という本来のサウナの姿をきちんと謳うべきではないかと。

おっしゃるとおり、昔はサウナが趣味だと言えるような雰囲気があまりなかったですよね。

織茂 ないですね。

原山 それが、大泉さんのように、「自分の趣味はサウナ」と言える若い方がだいぶ増えてきた。そのきっかけにはなれたのかなとは思っています。

また、この本の少し後に、漫画家のタナカカツキさんが出した『サ道』という漫画が大きかった。サウナ道を略して『サ道』で、サウナの魅力を独特なトーンで伝えている。例えば、「サウナってなんて気持ちいいんだ」ということを「ととのった」という言葉で表現されている。この漫画がだいぶ多くの方に読まれて。

織茂 あれは大きかったですね。要するに、熱い状態から冷たい水に飛び込んだときに精神的に解放される状態のことを、「ととのった」と言われた。これ、かなり当たっているんですよね。

大泉 うん、うん。そうですね。

織茂 サウナ初心者のタナカカツキさんが、どうして自分はサウナが大好きになったかを漫画で延々と描いているんです。初めは入るのが怖いとか、変なおっちゃんがいる、とかから始まるんだけど(笑)。

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