三田評論ONLINE

【三人閑談】
魅力溢れるルーマニア

2021/12/24

柔道の拠点

雨宮 日本文化では柔道、空手など、武道に対する関心は非常に強いですね。全ルーマニアで、空手、柔道、剣道、合気道、合わせると何千人という人がやっていると思います。ですからスポーツを通じての交流もあるかなと思います。

田辺 幸運なことに、わが市にキャンプに来たのが柔道選手団で、日本に高い関心を持っていました。オリンピックに出たのは女子選手1人、男子選手2人の3人でしたが、柔道に対してすごくシンパシーを持たれているのを感じました。こちらに来ていただいたときには、古賀市の柔道をやっている子どもたちと交流し、双方に楽しんでもらえる場をつくれたと思います。

コロナ禍でオリンピック本番は応援にも行けないし、キャンプにも来られない状況でしたが、子どもたちがオンラインで声援を送る機会をつくり、エールを送ってもらいました。

雨宮 私が知っている範囲では、愛媛県の松山市が、ルーマニアとの関係は大変熱心です。松山市にある愛媛大学はブカレスト大学と学術交流協定を結んでいて相互に留学したり、イオン・クレアンガ高校と松山市の高校生の交流も行っています。

2018年にはクルージュ=ナポカ市に、桜の苗木を千本、松山市から寄贈しました。いずれクルージュ=ナポカには桜並木ができるのだろうと思います。

田辺 クルージュ=ナポカはぜひ行ってみたいですね。

雨宮 いやあ、きれいなところですよ。

田辺 クルージュ=ナポカがルーマニアの柔道選手の拠点なんですね。ルーマニア代表の監督が大石公平さんという日本人の方で、大石さんもそこを拠点にしています。いわゆる姉妹都市的な都市同士の連携、友好関係の構築ができたらいいね、という話はしています。

雨宮 クルージュ=ナポカのバベシュ・ボーヤイ大学にも日本文化研究センターができて日本語教育に大変熱心な大学の一つです。トランシルヴァニア州の中心都市の1つですが、日本の企業が進出するのはほとんどブカレストかトランシルヴァニア地域です。投資環境がいいのだと思います。

トランシルヴァニアはもともとはルーマニアの一部ではなく、後から入ってきたところなんです。ハンガリーやドイツの影響を受けてきた歴史があります。

川上 私が勤めていたイタリアの会社は、トランシルヴァニア地方のティミショアラが拠点でした。街の建物もカラフルだったり、外国文化にも非常に明るく、言葉も多様ですね。イタリア語もよく通じます。

チョルバの魅力

田辺 チョルバというスープは日本で言うと味噌汁のようなものですが、いろいろなパターンがあって何種類も味付けがあり。具もいろいろなものが入っているんですね。それをいただいた4皿で知りました。

川上 向こうの小麦を発酵させた調味料を入れるものです。おっしゃったようにすごくバラエティに富み、牛肉、豚肉、魚も入れますし、麺も入れるところもあります。

味付けもトマトベースだったり、もっとあっさりさせたり、いろいろなベースがある。ただ、1杯がかなり大きく、なみなみとボウルに注ぐようなスープです。チョルバがあれば事足りるぐらいなものですね。それが4杯出てきたというのは(笑)。

田辺 そうなんですよ。1皿で十分なのが4皿出てくる(笑)。内蔵が入っているものもありました。

川上 牛が多いですね。チョルバはどの家庭でも作ります。家庭で作るときには鍋いっぱいに作り、2、3日に分けて、味を変えて食べるということもあります。もちろんレストランでも出てきます。チョルバは国民食の1つでしょうね。

田辺 本市には8小学校、3中学校があるんですが、子どもたちにルーマニアを意識してもらうために、給食センターにお願いをしてチョルバを作ってもらいました。もちろん給食ですから、現地のようなものにはなってないかもしれませんが、ルーマニア料理が出てきたことは強く印象に残っているようでした。

川上 なんて素敵な試み! 日本全国に広めて欲しいです!

田辺 給食以外にも料理教室で市民の皆さんと作ったんです。キャンプ地誘致をきっかけに知り合ったフロレンティナさんというルーマニア出身の女性に講師として来てもらって、チョルバを皆で作りました。

隠れたワイン王国

川上 ルーマニア料理は初めて食べても、食べやすくて懐かしい感じがするのです。いかがでしたか?

田辺 日本人に合いますよね。すごく食べやすいと思いました。

川上 私はよく「(イタリア料理+フランス料理)÷ロシア料理」と言うんです。イタリアはトマトの煮込み、基本シンプル。フランスはチーズ、クリームなど酪農。ロシアは寒い地域ですからピクルスとか酸っぱいもの。日本人が、どこかで食べたことがあるようなものに出会える。

私がルーマニアに長く居られた1つの理由は食がおいしかったから。何十リットルもトマトペーストやジャムを煮込んだりするんです。

ルーマニアでは旬の素材をいつも大切にしつつ、保存食も手作りでいつも最高のものが食べられる。初めて行かれた方がルーマニアに魅かれる魅力の1つではないかと思います。ワインもそうですね。

雨宮 ルーマニアの土地は肥沃で、フランスからつながっている黒土穀倉地帯なんですね。したがって余計なことをしなくても、出てくる野菜や果物がとてもおいしい。

ちょっと地方に行きますと、どの家でも自分のところでブドウを育ててワインを造り、豚を飼い、間違いなく鶏は飼っています(笑)。全部地産地消です。

田辺 私はヨーロッパの他の国では経験したことがなかったのですが、ルーマニアに行ったときに、正直「こんなに食が豊かなのか」と、意外に思いました。

今、お二人が当たり前のようにワインのお話しをされましたが、僕はこれまでルーマニアのワインがおいしいことを知りませんでした。ルーマニアの方は皆「うちはワインがおいしいんだ」と言いますけど、日本ではそんなイメージはないですよね。

雨宮 ワインの発祥の地だと自負しているところはいくつかありますが、そのうちの1つはルーマニアであり、隣国のモルドバですね。

ここで取れるワインは本当においしい。もともとこのあたりからワインが出てきて、イタリア、フランスはその後ですね。確かにそのことは日本の方はほとんどご存じないですね。

川上 おっしゃる通りルーマニアはワイン国ですが、実は造った量の90%ぐらいが国内消費されてしまう。まだまだ知られていないワイナリーもたくさんあると思うんです。

そして雨宮さんが言われた通り、おうちでワインを造る。「うちの酒を飲んでいけ」というおもてなしですね(笑)。いわゆるホームワインが主流なので、プレミアムワインがそんなに広まっていないところもありますね。

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