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加藤真平:自動運転のためのOS開発を牽引する

2023/01/16

ロボットタクシーの実用化に向けて

──ティアフォーが最先端のOSで求心力を持つうえでは、ソフトウェアのリリースの頻度も重要ではないかと思います。今、どれくらいのペースでリリースしているのでしょうか。

加藤 2カ月に1回程度です。ハイペースだと思いますが、開発工程に機能単位の小さいサイクルで繰り返すアジャイル開発手法を採用しているので迅速にリリースできています。

──リリースのマイルストーン(開発の主要なポイント)は何年くらい先まで見通しているのでしょうか。

加藤 2030年ぐらいまでを見込んでいます。自動運転技術が実用化されると、さまざまな乗り物をタクシーのように使えるようになるかもしれません。運転席に人がいない「ロボットタクシー」の実用化といったことを考えると、それくらい先までロードマップを描いています。

──すると、ロボットタクシーがオートウェアで実現できるのは……。

加藤 2030年ごろになる見込みです。今すでに走らせることも可能ですが、まだ採算が取れませんし、法規的な面もクリアしなくてはならず、それらが整うのが2030年ごろです。具体的なイメージとしては、地方や海外の公共交通機関がないところでの実用を考えています。

ティアフォーのミッションには「創造と破壊」があり、オートウェアの開発はもちろん創造ですが、破壊にもセンシティブでなければなりません。例えば、もし東京で人手不足によってロボットタクシーが必要になった場合、既存のタクシー業界は再編を余儀なくされますが、それは見方を変えれば、その時点でタクシー産業は回っていないとも言えます。その時は僕たちが責任を持ってロボットタクシーの事業を担うことにもなる。そうしたこともティアフォーのこれからのミッションだと考えています。

──本日は有り難うございました。今後の展開に期待しています。

(2022年11月24日、株式会社ティアフォーにて収録)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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