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末藤 梨紗子:「ビズリーチ」で転職に新しい風を吹かす

2021/05/25

仲間の力を信じる

──そんなことがあったんですね。大学はなぜ慶應を選んだのですか。

末藤 両親から、日本の大学に行ってほしいと言われたのもありますが、母が慶應出身で、学生時代のことをすごく楽しく話すので、子どもの頃から影響を受けていましたね。また、すごく自由な校風で、型にはまらず、多種多様な人がいるのだろうなと思いました。「独立自尊」や「自我作古」というキーワードも自分にマッチしていて、慶應に入りたいと思いました。

──お母様の時代に女性で総合大学のトップスクールに行く人は、まだまだ少なかったと思うので、楽しかったとおっしゃったら影響を受けますね。

末藤 私自身も卒業後、連合三田会に深く関与していますが、この卒業生のネットワークの強さというのもやはり慶應の強みですね。

──そうですね。在学中、田村ゼミはいかがでしたか?

末藤 卒業後、ゼミで出会ったご縁がいまだに続いていますし、2年間で鍛えられたことはすごく大きかったです。田村ゼミは当たり前のように様々な視点からディベートをします。どうしてその相手はそう考えるのかを論理的に分析し、その立場に立って話をする。多様な視点を常に持つことが大事だということを身につけられたことは、その後のキャリアにおいて、とても役に立ちました。

──それは大変嬉しい話です。就職先はどのように選ばれたのでしょう。

末藤 国家公務員になりたいと、大学2年の終わり頃まで考えていました。ただ父と話す中で、昔は国家公務員の影響力が圧倒的に大きかったけれど、これからは、民間も強くなることで、この国が強くなることができると言われ、方向転換しました。

日本の社会のためになるような仕事をしたいという気持ちで就職活動をする中で、できる限り早いスピードで成長できる環境だと感じた外資系企業を、そして、世の中の仕組みをまずは理解しようと外資系の金融を選びました。

──若い塾員、塾生に伝えたいことはありますか。

末藤 大きなことは申し上げられませんが、振り返って思うのは、リスクを取ることを恐れないでほしいということです。

恐怖心さえ取っ払ってしまえばなんでも挑戦ができると思います。私自身、今こうやって楽しくお仕事をさせていただいているのも、常に自分の目の前に転がってきたチャンスを1つ1つ取っていった結果なので、何かチャンスがあったら摑んでみることが大事かなと思います。

──なるほど。最後に、自分が大切にしていることをお話しください。

末藤 1つは「自分の人生、自分でコントロールすべき」ということでしょうか。

後は、自分の日々の仕事の中で、正しいと思ったことはきちっとやりきることを大事にしています。正しいことをやれば周りの人は協力してくれる。

1人だったらできないことでも、正しい軸を持っていれば周りに人が集まってきて一緒に何かを成し遂げられる。そういう仲間の力を大事にしていますし、常に感謝の気持ちでいっぱいですね。

──ハーバード大学のロバート・キーガン教授の言葉に「適応型のリーダーシップ」というものがありますが、末藤さんがおっしゃったのは、まさにそれなんです。つまり、自分ができるようになると、周りの人間を支配できると考えてしまいがちだけど、結局そういう人は優れたリーダーにはならない。自分が適応して、対応できる能力を持っている人が本当のリーダーだということなんです。

これからもっと輝いて、ご活躍されることを期待しています。どうも有り難うございました。

(2021年3月14日、オンラインにより収録)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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