【話題の人】
檜原麻希:ニッポン放送初の女性社長に就任
2019/10/15
「自分を見てくれる」ラジオ
──いつ頃からラジオ局に入りたいと思ったのですか。
檜原 当時、マスコミセミナーというものがあり、「マスコミもいいかな」ぐらいのアバウトな感じで行ったら、結構早くに決まってしまって(笑)。
でも私、子供のときに結構ラジオが好きだったんですね。ハガキも書いていたし。読まれたこともありますよ。そういう意味ではラジオとリスナーの濃厚な関係は経験しています。
──面白いですね。リスナーが社長になった。
檜原 ラジオなんて、好きじゃないとなかなかやらないから(笑)。
ネットはインタラクティブのように見えていて、何かちょっと違う感じがするんですね。もう少し客観的というか。ラジオは必ず向き合っている人がいる。1対1になるんですね。もちんその後ろに聴衆がたくさんいるのだけれど、関係位置は一対一に近い。
──リスナーにとっては、タレントと1対1で向き合っているかのような感覚が得られるということですね。
檜原 そういうメディアはあまりないじゃないですか。だからその良さを広めることが必要なんでしょうね。
──今の若者は、個人としての自分を見てほしい、という人が多い気がします。ラジオはそういう「自分を見てくれている感」がありますよね。
檜原 承認欲求というのか、ある種の構われたい感じなんでしょう。だから今、もう一度ラジオに戻ってきているところはあるんでしょうね。
──すると、新社長としての抱負は、そういうラジオのよさを生かしたいということでしょうか。
檜原 もちろん、それはありますけれど、先ほど言ったように、今までの、広告モデルだけには頼れないので、違う事業展開も必要ですね。
昔から「ラジオもやっているニッポン放送」という言葉があるぐらい、いろいろな事業を手掛けています。その中でラジオという放送形態が次の時代に継続できればいいですね。
──最近の新規事業としてはどのようなものがありますか。
檜原 結構面白いところに投資しています。グレイプ(grape)というウェブメディアの会社を買収したり、HIROTSUバイオサイエンスという会社に出資したりもしています。あと、オーディオバーストというイスラエルの音声の検索技術を持っている会社や、abasakuという映像制作会社などに出資しています。
最近は映画にも出資していて、この間公開された『アルキメデスの大戦』などもそうですね。
──『アルキメデスの大戦』は好評みたいですね。
檜原 ラジオに課せられた使命として、災害など有事のときの役割があります。国もそこは重視しているわけですが、それは別に毎日あるわけではない。しかも、そういったところも通信の5Gなどで補える機能が出てくれば変わっていくかもしれません。
免許事業者で放送を預かっているという立場と、企業としての発展というところを、どう噛み合わせていくかというところが課題かと思います。
──檜原さんのパワーで、面白いラジオがまた生まれるのではないかと思っていますので楽しみにしています。
今日は有り難うございました。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
カテゴリ | |
---|---|
三田評論のコーナー |