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林善博:「有機味噌」にこだわり 世界へ日本の味を届ける

2019/08/22

海外展開へのさらなる期待

──そこは本当に共感できるところです。すると、これからはやはり海外進出の方向性を強められると。

 日本国内でも、海外でも、総合食品メーカーになろうという気持ちはありません。やはり特定のマーケットでのパイオニアとなり、オンリーワン、ナンバーワンになる商品の柱を作っていきたいと思います。

その前提として、味噌をコア事業で持っていることはすごく有利なことです。海外では、味噌は醤油に比べて、用途開発など、いろいろな意味でまだ20年くらい遅れているように見えます。味噌を現地流にアレンジして、現地の人たちの生活の中に入っていくのはこれからだと思うんですね。

今、海外でひかり味噌が一番力を入れているのは有機味噌のシリーズで、アメリカでは日本の2倍以上の商品数があります。アメリカでは、ウォルマートのようなスーパーですらオーガニックのPB(プライベート・ブランド)があるくらい、有機はもう普通のことになってきました。

有機については過去20年以上、力を入れてきており、国内でも有機味噌の約7割は当社がシェアを持っているのですが、これを海外の主力の柱にしたのはよかったと思いますね。

特にアメリカは健康に対する消費者の期待が違います。味は二の次でグルテンフリーやシュガーフリー、あるいは、GMOフリー(遺伝子組み換えではない)といった能書きが付けば付くほど売れます。

ひかり味噌は、だいぶ前にアメリカの民間団体のグルテンフリーの認証を取り、そのマークも商品に表示しています。そのように、認証やマークを表示して、「当然有機です」とうたい続けるのが、海外戦略の中では一番の大きな柱だと思っています。

最近増えているのがヴィーガン(肉に加え、卵・乳製品・はちみつも食べない)、ベジタリアンの動きです。感度が高い欧米の消費者は、日本食に期待するものイコール有機ですから、味噌にとってはよい環境になってきましたね。

──そのあたりが今後楽しみになってきますね。今日はいろいろなお話を有り難うございました。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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