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葛西健:WHO西太平洋地域事務局長に就任

2019/03/15

グローバルヘルスという価値

——事務局長になられてから、どのような組織を目指しますか。

葛西 3つあります。1つはどんどん成長していく組織です。われわれは専門機関なので常に新しい知見を取り込み、かつ経験していくので、今までのようなWhatだけではなくHowの部分の知見も含め、どんどん成長していきたい。

2つ目は、成果を出さないといけない。知見をため込むだけでは成果につながっていきませんので、各国政府に働きかけて変化を起こしたいと思います。

3つ目は、やはり国連機関なので、ダイバーシティということを考えていきたい。男性、女性、いろいろな国籍の人たちが、違う文化・習慣を尊重し、その違いから何か新しいものを生み出していく組織を目指します。

この3つ目は非常に難しいのですが、国連機関だからこそできることだと思います。

——トランプ大統領登場以降、世界中でグローバル化からのUターン現象が起こっています。これは残念なことだと思うのですが、この流れはどう感じていらっしゃいますか。

葛西 とても大事なご指摘で、WHO内でも皆、内向きになっていることをすごく不安に感じている。その動きに対しては責任を感じています。責任というのは、それが起きたことについてではなく、まさにわれわれが仕事にしているグローバルヘルスというものが、その内向きの方向性を食い止め、あるいは場合によっては戻してあげられる、一番大事なコアの部分ではないかと思うからです。

グローバルヘルスというのは、基本的には世界の皆が協力しないと成立しないものです。健康というのはどの国でもとても大事な価値ですから、それを上手につなげることで、内向きな方向性を食い止め、違う形の世界ができればと思います。

「SDGs(持続可能な開発目標)」という枠組み、あるいは日本が打ち出しているユニバーサル・ヘルス・カバレッジといったことを共通の価値として、前に進めることができないかと思っています。

——そうですね。ヘルスというものは、あらゆる人種を越えてつなぐ大きなキーワードです。その中で葛西さんがますます活躍されることを期待しています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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