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藤原かおり:「フルグラ」の売り上げを10倍に

2019/01/16

今でも続くゼミでのつながり

——フルグラに出会って、人生変わりましたよね。学生時代はもっと柔らかい雰囲気の人でしたけど、ゼミ同期の中でも出世頭ですものね。

藤原 「何であいつが」と、たぶん皆、思っていると思います(笑)。

——学生時代、私たちは田村次朗先生のゼミで、私が1つ上でした。

藤原 私は政治学科から入れてもらいました。日吉の1、2年生のときに、勉強があまり面白くないと感じていたのですが、田村先生の法律の授業は面白かったんです。だから、ゼミは大変そうだけれど、受けてみようかなと。

田村ゼミはディベートをよくするゼミでしたが、石原さんはいつも論理的に相手チームを打ち負かしていましたね。

——論理ではないの。あれは気の強さ(笑)。

藤原 一方で私は、ディベートで指されてもチームで一番喋れる子に振ったりして、「あなたが話しなさい」と先生によく怒られました。本当に話すのが苦手だったんです。

——そんな感じでしたよね。田村先生は「人生は自己との戦いだ」と必ずおっしゃっていた。これは歳を取ってから、本当にそうだと思いました。田村ゼミで一番の思い出は何ですか。

藤原 クリスマスパーティーですか。バブルが崩壊した後なのに、とてもバブリーなパーティーで。「遊び方も派手に」というのが、先生のポリシーでしたね。

でも、楽しかった。ああやってゼミ生たちのロイヤリティを築いているのかもしれないですよね。

——何でも一生懸命やるのがいいというメッセージがあったのかもしれません。藤原さんはすごくいい友達に恵まれていましたよね。

藤原 そうですね。長く付き合える人たちと出会えたなと思います。OB会に行って、先輩と10年ぶりに会っても普通に話が弾みますし。

——社会人になって以降、知り合う人というのは、どこかで競争の関係があったりする。だけど、学生のときの友達は、全然関係なく、ただ単に何か楽しかったというだけで付き合えるのかもしれないですね。

藤原 そうですね。利害関係なく付き合えますね。

この間のOB会のときにお会いした会社役員の方も、普通でしたら会えない方なのに、名刺交換をした後、早速ビジネスとして人を紹介してくださるとおっしゃっていただいて、ゼミの後輩だからということで、すごく忙しい中、親切にしてくださり、とても有り難く思っています。

——そうですね。私の同期には塾高野球部監督の森林貴彦さんがいます。

藤原 森林さんもすごいですね。幼稚舎の先生をしながら慶應高校の野球部監督で春、夏の甲子園に出られて。

——私、選抜に行ったんですよ。ゼミの仲間3人と子ども2人で並んで応援しました。

大学ではサークルでテニスをやっていましたよね。

藤原 はい、硬式テニスのサークルのサニーというところです。塾内の全サークルのトーナメントで決勝までいったんです。

高校は埼玉の浦和一女(浦和第一女子高校)という県立高校ですが、軟式テニスでインターハイを目指していました。

——基本的に実は体育会系ですよね。

藤原 一生懸命やってしまうんです。何か目標をつくって。

——だから、今のカルビーでの活躍がすごく分かる。

実はカルビーに入社される前はちょっとキャリアに迷っている感じがしていたので、ようやくいい場所に巡り合えたんだなと、すごく思うんです。

フルグラを世界へ

——フルグラも、担当してから、だいぶ長くなりましたね。他にやってみたい商品はあるのですか。

藤原 今、中国のビジネスがすごく伸びているんですが、海外はもっといろいろな国で伸ばせるのではないかと思っています。だから、他の商品というよりフルグラをもっと伸ばしたいですね。

松本はカルビーの会長を退任しましたが、在任中は松本の指示を受けながらだったので、あまり考える必要がなかった。ですから、今、自分ですごく考えるようになりましたし、これまでの経験は自分の成長のためにはよかったと思います。

——では、また新しい挑戦のステージにいるということですね。

藤原 そうですね。自分の中に松本から教わったことがストックされていて、それを引き出しながらやっている感じです。

2017年、2018年は国内市場が少し足踏みしているので、2019年の戦略は大きくガラッと変えるつもりで準備をしています。

カルビーでは設備投資はマーケティングがするんですよ。これこれ、こういう理由でこれだけ売れますから、これだけの設備投資をさせてくださいと。

もういろいろな角度から反対意見を言われても、「絶対、私はコミットします」と言って。

——藤原さんがそんなに強く言うのは、意外な気もします。

藤原 そういうときは、人格を変えてやらないと通りませんので(笑)。生産設備のことも考えます。今、中国向けに、京都にフルグラの輸出向け工場があるのですが、より生産効率を高めていかないといけないから、プレッシャーがものすごいんです。

でも、お金をバンバン生み出していく、プロフィットの部分が楽しいのでやりがいはありますね。

——すごいですね。頑張ってください。これからも応援しています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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