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分部庸子:校長として自動車整備士を育てる

2018/08/14

自主性を育てる「耐久レース」参加

──その後、ファルテックという部品会社に移られて営業戦略部長になられました。

分部 私はもともと最初に入ったのが部品部でしたので、またそこに戻ったような感じでした。1つの部品でも本当に奥が深いんです。小さな部品1つでも開発者がいて、それを製造している工場がある。そこでもやはり核となるのは人でした。

──まさにものづくりの原点ですね。いろいろなところで活躍されて、とても適応力がおありになる。

分部 今一番おもしろいのは人材育成かなと思います。

──校長先生にはぴったりですね。

分部 まだ2カ月なので何とも言えません。ただ、私が育ててもらったように、学生にもいろいろな経験をしてもらえるといいと思っています。

全校で174名ですので本当にこぢんまりしています。寮を持っているので、特に寮生たちとは距離が近くなりますし、学校経営だけしていればいいのかと思ったら、寮の中では毎日のようにいろいろな事件が起きるのでその対応も大変です(笑)。

このようにこぢんまりした学校ですが、設備や教材等は日産自動車が提供する最新のものが使えます。また、うちの学校の財産は先生方で、この先生方にいい人材をいかに確保していくかが、もう一つ大きなテーマです。

日産校の教育方針は自主性と主体性を育てることなんです。その一番の教育の場として、「スーパー耐久レース」に日産校として参加しています。

──それはすごいですね。レースに勝とうという気持ちが一番モチベーションになりますね。

分部 学生が主体的に運営をします。具体的には、お客様への対応やピットでのメカニックのお手伝い、広報まで学生がこなします。事前勉強ということで、先日、提携している近藤真彦さんのKONDOレーシングチームの方々が、当校にレースカーを持ち込んでレースとはどういうものかということを説明してくださいました。こういった話に学生は目が輝きますね。

──そうですよね。この建物の階段を上がってきた時に、学生さんに大変元気にご挨拶していただきました。

分部 専門学校というのは実践力を養うところで、卒業したらすぐに販売会社や工場で仕事が始められる職業人、社会人になってもらいたい。その時の基本は礼儀、挨拶だと思います。

特に販売会社の現場ではお客様と接することが多く、車をただ整備していればいいわけではない。フロントでお客様に整備内容を説明するのが大きな仕事になってきます。その時に基本的な挨拶ができなくてどうするのかということで、毎朝挨拶の訓練をしています。私もここに来て完璧な挨拶の仕方を習いました(笑)。

──そうなんですか。今日は貴重なお話を有り難うございました。

実習教室での学生たち
(取材・構成=編集部)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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