三田評論ONLINE

【話題の人】
加藤誉樹:日本のバスケットボールをレフェリーとして牽引

2017/11/01

プロフェッショナルレフェリーとは

──実際に審判をやる上では、どういうセンスが必要なんでしょう。

加藤 審判というのは、熱意さえあればある一定のところ、国内で言えばBリーグを吹くレベルまでは今や誰でも行けると思います。JBAもガイドラインを示してくれていますし、映像がたくさん見られる世の中なので、それに基づいてレフェリングの勉強もできると思います。

そこからさらに、トップレフェリーになったり、海外で活躍するのは少しハードルが上がりますが、でも一番はどれだけバスケットに向き合う時間を惜しまないかだと思います。それは大濠や慶應で選手としてはふがいなかった自分が、審判としてはどこまで行けるかというところをちょうど今トライしている最中です。僕は努力すれば、誰でも一定のところに行けるべきだと思っています。

──「レフェリーはあの人でなければだめ」となってしまってはだめだと。

加藤 そういうことです。だから、ある種体系化されていくべきかなと。今回、私はプロフェッショナルレフェリーという、今までにはなかったレフェリーとしての人生を歩んで行くわけですが、今後は私が特別ではいけないと思うんですよ。

こういう人が当たり前にならないと、日本のバスケットはよくなったとは言えないと思います。

──でも、やはり「加藤がプロ契約した」という結果が目に見えなければ、仕事を終えて家に帰ってから、寝る間も惜しんで1日何試合もビデオを見る努力は誰もしないと思う。そういう意味で目に見える一歩を踏み出したのがとても大きいと思うんです。 最後に、加藤君がページを捲ったことで、バスケットボールの審判員に興味を持ってくれるかもしれない中学生や高校生に何か一言お願いします。

加藤 「コートに立てるのは10人ではなく13人ですよ」という言い方はできるかもしれません。国内もこれからBリーグがもっと盛り上がってくれば、1万人、2万人というお客さんがいる中でコートに立てるわけです。

中学、高校で選手として一生懸命バスケットに向き合い、もし万一その道が断たれたときにもバスケットがまだ好きだったら、あきらめるのは早く、審判という道は選手と同じくらい魅力があり、情熱を注ぐに値する仕事だと思います。

もし、「あのときプロになった加藤さんを見て審判を始めました」という子と一緒に将来コートに立てれば、それは素敵だと思います。

──今まで全くなかった道がここで開けたということは、1つの新しい職業が誕生したとも言えるわけなので、やはりものすごく大きな、素晴らしいブレイク・スルーだと思います。

今日は有り難うございました。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

カテゴリ
三田評論のコーナー

本誌を購入する

関連コンテンツ

最新記事