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草野 絵美:アートの世界で最新テクノロジーの可能性を探求
2024/04/15
コラボレーション志向の源
──草野さんはこれまでいろいろな人とコラボレーションをしてこられましたが、それは意識的にそういうスタイルを選んできたのでしょうか。
草野 私はアーティストとして表現したい世界を実現するために、自分だけで手を動かすよりもその領域が得意な人と組んでより良い作品を作ろうと考えるタイプです。そして自分では予期できない要素があるほうが好きです。AIやジェネラティブアートにもそういう側面があり、機械とのコラボレーションから予期せぬエネルギーを取り込んでいます。
こうしたコラボレーション気質は学生時代にスプツニ子!さんと出会えたことがきっかけです。お会いできた時に、80年代の特撮の魔法少女に憧れていると話したら、その世界観をビデオにしては? と言っていただけました。でも私には動画や曲づくりの技術もない。そう言うと、「作りたいものが明確にあるならできる人と組めばいい」とアドバイスをいただきました。
その言葉からSatellite Youngというバンドを始めることになりました。この活動で私は音楽よりもTシャツをつくったりCDジャケットのデザインを決めたり、ミュージックビデオを撮ることに取り組みました。クリエイターとのコラボレーションを通して制作の魅力を感じるようになったのです。
──草野さんが美大ではなく慶應のSFCを選んだのはなぜだったのでしょう。
草野 アーティストとして経済的に苦労しないようにビジネススキルを身につけたかったから、そしてやりたいことがいっぱいあったからです。SFCは学際的でプログラミングを学びながらデザインや起業も学べました。先生も社会で活躍している方ばかりでした。
SFCにはAO入試で入った個性的な人たちもいましたし、一般入試で入ってきた優秀な人たちやマルチカルチュラルなニューヨーク学院出身の人や留学生がいて、互いに刺激し合う多様性がありました。起業している人もいれば小説を出版している人もいました。皆、学生でありながら何かをしている人が当たり前のような環境で、本当に刺激を受けました。
──そういう気風が藝大にも欲しい。
草野 今までも音楽を作ったりインスタレーションを作ったり、さまざまなかたちで創作活動を行っていましたが、2023年に美術の文脈で本格的に、自分名義の作品を発表するようになりました。海外での展示を行い、現地のアーティストと交流を持つようになると、セルフブランディングにもより意識が向くようになりました。
それまではなんとなく書いていたプロフィールもキュレーターの目に留まりやすい客観性が必要だと思うようになりましたし、今ではコレクターとの関係の築き方もアーティストとして重要なスキルだと考えています。
逆に言うと、それができれば好きな作品やより大きな作品を作り続けられます。表現活動をしたい人たちにはそうしたことにも意識を向け制作の自由を獲得してもらい、皆がハッピーになることを願っています。
──これからも新しい表現を切り拓いていかれるのを楽しみにしています。有り難うございました。
(2024年2月26日、オンラインにて収録)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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