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【Researcher's Eye】
松本守:「SDGsという種」を播く教育

2022/07/27

  • 松本 守(まつもと まもる)

    慶應義塾中等部国語科教諭
    専門分野/日本語学・書写書道教育

中等部は2020年の11月17日にSDGs宣言をしました。73回生が2年生の時です。学年全体で取り組んできたSDGsの活動について、担任団を代表して紹介します。

まず軸になるのは「SDGs行動宣言」です。行動宣言とはSDGs17の目標を参考とし、「自分ごと」でとらえた持続可能な目標を言葉で表したものです。具体的な行動を考えるだけでなく実践することも求められます。ここから、次にあげる活動につながりSDGsの活動が広がっていきました。

①SDGsキャッチコピーを制作(国語科と連携、SDGs169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクトに参加)

②SDGsポスター制作(美術科と連携、ゲストティーチャーに国連WFP協会理事本田亮氏を招聘)

③SDGs×電気(社会科と連携、エネルギーの脱炭素化を学ぶ)

④エコとわざコンクールに参加

⑤SDGsクリエイティブアイデアコンテストに参加(行動宣言をデジタルで表現)

⑥講演会 鈴木邦和氏「SDGsのリアルを知る―SDGsを学び、どう活かすのか」

7番目として、卒業間近に「行動宣言2022」と「行動宣言2030」の2つをつくりました。「2022」では、高校生になって取り組みたい具体的な活動を、「2030」ではSDGs目標達成年である2030年に自分を取りまく環境や世界がこうなってほしいと思い描きながら考えてもらいました。この取り組みではSDGsをコミュニケーションツールとして使い、現在と未来をつなげてみようと試みました。卒業する生徒がタイムカプセルを送る話はよく耳にしますが、この2つは未来の自分へ行動宣言を託したものになります。

近い将来、SDGsに取り組んできた中等部生が、卒業生として中等部の教育活動に参加する日が訪れます。SDGsを学んだ卒業生が在学生に自らの体験を話す際、中等部が宣言した持続可能な教育が始まるのではないかと思います。

こうした活動は教職員、事務室や用務員のみなさんの理解と協力があって実現します。また生徒の取り組みを保護者の方々や卒業生とも共有し、中等部の教育に携わるすべての人に理解と協力を求めていきます。これは「誰ひとり取り残さない」という理念の実現につながっていくと考えています。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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