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【パリ2024オリンピック・ パラリンピックでの塾生・ 塾員の活躍】メダリスト インタビュー
2025/02/20
はじめてのオリンピックを経験して
表彰台に上り、アメリカ国歌が流れた時は、やはり悔しくもある一方、その場に立つことができる4人の中の一人になれたという嬉しさもあり、複雑な感情でした。
オリンピックは観客の数がその他の国際大会とは全然違いますし、世界選手権とも国内の大会とも違う感じはありました。メディアの数も違います。また、自分は現地にいるからよくわからないところもあったのですが、日本にいる人からSNSを通じて、日本のメディアにすごく取り上げられていることがわかりました。自分たち選手は、特に五輪だと思わないように平常心で試合をするようにしていますが、そうであっても五輪であるということを思わせてしまうくらい、すごく違う雰囲気はあったかなと思います。
選手村は、今までユースオリンピックやアジア大会などの競技大会で経験した選手村とはやはり規模が違いました。そしてこれがオリンピックなんだと、常に思わせられます。いたるところにオリンピックのマークがあったり、いろいろな国の有名な選手が歩いていたりするからです。
レスリング部72年振りのメダリスト
オリンピックから帰ってきてからはレスリング部90周年のお祝いもあり、皆さん喜んでくれたようです。レスリング部としては、北野祐秀さん(1952年ヘルシンキ五輪銀メダル)以来のメダル、女性では初と聞きました。72年振りというのはピンと来ませんが光栄なことですし、女性では学生としては初めてでもあるので光栄に感じています。すごく嬉しいですね。
入学当時から、レスリングで慶應初のオリンピック金メダリストになる、と言っていましたし、メダルの色は銅ですけれど、オリンピックに出てメダルが取れたことは、塾生として素直に嬉しいなと感じています。今回も活躍されていたオリンピアンの方のように私も卒業後も活躍していきたいなと思います。
SFCでは、今、イスラームの勉強をしているのです。入学当時は全然考えていなかったんですが、4年間で自分に興味があることを探していければいいなと思い、SFCを選択しました。
レスリングに特化した大学で学生生活を送るより、少し違う視点を得たいと思ったのです。入学後、国際試合でイスラーム教徒のレスリング選手とも対戦するようになって、イスラームとは何だろう、と考え勉強することにしました。これはSFCに入ってみないとチャンスがなかったと思います。
自分が興味を持って履修しようと思った時、それができるのがSFCのよいところだと思います。イスラームを学んでいると、いろいろな国、いろいろな選手と試合をする中でいろいろな見方ができてくる。人それぞれどういう思いで試合を戦っているのだろうかと考えるようになります。
宗教の違いからルーティン一つとっても、何か違う考えで試合に臨んでいるのだ、と会場を見わたすと思います。日本にとどまらず、レスリングを通じていろいろな世界を見られているのかなと思います。
慶應レスリング部とともにより強く
慶應義塾の体育会で活躍するということは文武両道の実践をすることだと思っていますので、競技だけではなく、学業もしっかりやらなければいけない、と思わされます。塾生であるからこそ生活習慣や規律についてもプライドを持っていなければいけないと思っていますし、他のレスリング選手とは違うんだと自分でも思っているところはあります。
しかし、学業との両立はそんなに簡単でもなく、五輪期間中はほとんど学校に来られない時もあったので、今、レスリングも頑張りつつ、学業も頑張っているところです。
レスリング部も強くなっているので楽しみに思います。全日本選手権への出場者も多くなっていて慶應も盛り上がっているなと思います。少しでも自分が活躍することで励みになってくれれば嬉しいですね。わたしも慶應にいる間、皆と切磋琢磨したいと思っています。
昨年末の全日本選手権(天皇杯)ではパリオリンピックのメダリストが誰も出場しないなかで、出場して優勝することができました。また62㎏級に戻しましたのでコンディション作りが大変でしたが、試合では動きが悪いということもなかったです。
国際大会の切符を取るには全日本で優勝しなければ、ということから出場しました。メダリストになったことで、そう簡単に出場すると決められなくて、ギリギリまで考えたんですが、出ることにしました。オリンピックでメダルをとったことで、やはり見る人は見るし、負けられない覚悟はありました。それを感じつつも本気で戦い、勝ち切ることができたのでよかったと思っています。
62㎏級はスピード重視なのに対して、68㎏級は重量級なので、力のレスリングへの対策を多くやってきました。それが自分の武器としてプラスアルファになり、その経験は生きていると思います。これから3年後のロスオリンピックでの金メダルを目標に頑張っていきたいと思います。
(聞き書きにて構成。聞き手=慶應義塾常任理事[体育会担当]山内慶太君)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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