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【写真に見る戦後の義塾】
幼稚舎創立80周年

2018/01/01

校庭での記念式典
芝公園で開かれた運動会での仮装行列

明治7(1874) 年創立とされている幼稚舎が、昭和29 (1954)年に80周年を迎えて、式典・運動会・音楽会等の記念行事を盛大に行いました。5月5日の式典は、当時講堂(昭和23年合併教室と申請してやっとのことで建設した)として使用していた自尊館(通称赤屋根)は、その収容人数から使えず、校庭で行われました。辛い戦争の時代を経て、まさに戦後の復興の息吹を感じさせる中でしたが、校舎は戦時中軍に接収された残滓である、黒の迷彩模様が施されて、痛々しい姿・景色でした。翌5月6日には日比谷公会堂にて音楽会が開催され、記念の楽曲(『幼き塾生の歌(佐藤春夫詞、山田耕筰曲)』、『同窓会の歌(藤山一郎詞・曲)』、『讃歌幼稚舎生の歌(平岡養一詞・曲)』なども披露されました。当日は、平日の午後にも拘らず、満員の盛況であったといいます。2日おいて5月8日には、芝公園のグラウンドに於いて、華々しく運動会が開かれました。

プログラムは、知恵を絞って色々工夫をこらしましたが、中でも幼稚舎80年の歴史にちなんだ仮装行列〝伸びゆく幼稚舎〟は、それこそ大喝采を博したという記録が残っています。この他、舎生・同窓生・父兄・教職員対抗750メートルリレーや〝三代の功績〟、6年生による〝迷作物語〟(古今の名作「竹取物語、かちかち山、金太郎、東海道五十三次」等々を題材にした競技)と続きましたが、この日は幼稚舎生は勿論のこと、普通部生・中等部生を始めとする同窓生や父兄が大勢が参加して、愉しい1日となりました。その後、幼稚舎は90周年、100周年、125周年と続き、来る2024年には創立150周年を迎えようとしています。そこには幾多の方々の労苦や努力の積み重ねがあってのことであることは、言うまでもありません。多少なりとも関わった者として、喜びを感ぜずには居られません。仕舞いに、当時の吉田小五郎舎長の言葉を掲げます。

「祭典は終わった。然し80年の歴史を背負って歩き出すのは、これからである。流行を追わず、旧きも亦辞せず、常に子供のことを中心第一にして、舎内一致協力堅実な歩みをつづけて行けば、おのづからそこに道は開け日は輝くと思っている」。

(慶幼稚舎 舎史資料室、元教諭 鈴木雅晴)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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