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【写真に見る戦後の義塾】
世界の大学代表者を迎えて

2016/10/01

昭和40年 撮影:三木淳(上下とも)

東京オリンピックの翌年の1965年、8月31日から7日間、第4回国際大学協会総会が東京大学を会場として開催された。国際大学協会(International Association of Universities)は「世界の大学の結びつきを深め、社会においての大学の役割を高め、国際平和に寄与する」を設立趣旨として1950年にUNESCOの下に設置された。総会は、5年に1度開催され、いわば「大学の祭典」と称される。ニース(フランス)、イスタンブール(トルコ)、メキシコシティと開催され、アジアで初の開催となった第4回総会には、米・ソをはじめヨーロッパ、東南アジア、中東など63カ国、289大学の代表395名とオブザーバー85名が参加した。参加者のなかにはハーバード大学ピュージー総長、ケンブリッジ大学H・バターフィールド教授など慶應義塾と縁の深い著名な学長、研究者も多かった。日本からの参加者は51大学103名であった。本塾からは就任まもない永沢邦男塾長、佐藤朔文学部教授および気賀健三経済学部教授が出席した。総会開会式は皇太子ご夫妻、佐藤栄作首相、中村梅吉文部大臣らも出席して盛大に実施された。

9月4日、総会に参加した海外の大学長らのうち98名が、三田キャンパスを来訪、午前11時、3台の大型バスで一行は塾監局前に到着、塾長、理事、学部長らに迎えられて「丘の上」のチャイムを聞きながら、夏季休暇で静かな構内を横切り三田演説館に入った。演説館では、永沢塾長が歓迎の辞を述べ、創立者福澤諭吉を紹介、経済・産業界に多くの有能な卒業生を送り出していて、慶應義塾が日本の私学の代表的地位をしめていることの誇りを語り、海外諸国に多数の学者を派遣し、諸大学と学生の交換を行っていることを述べた。引き続き、一行は第二研究室(南館の建築前にあった谷口吉郎による建物で、国際センター、言語文化研究所が入居)のノグチルームと図書館記念室で、国宝の「秋草文壺」や世界最古の印刷物である経典「百万塔陀羅尼」などの展示を観覧し、その後、三井倶楽部に移動しての歓迎懇親会となった。

国際大学協会は2013年には加盟が119カ国、630機関と広がっており、本年11月には第15回総会がバンコクにて開催される。

(広報室長 石黒敦子)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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