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【KEIO Report】志木高蹴球部花園初出場ベスト16
2026/03/27
花園に立つ
創部68年目にして、慶應志木蹴球部は悲願であった花園初出場を果たすことができました。初の大舞台においても選手たちは臆することなく戦い、初出場校としては22年ぶりとなるベスト16進出を成し遂げました。この躍進を支えたのは、9月から4カ月にわたり、週1回のペースで継続してきた大学蹴球部との合同練習です。この大学生との合同練習を続けた経験が、花園で自分たちの形を貫く大きな力となりました。
1回戦対青森山田高校戦では戦術が噛み合い、自分たちの思い通りのラグビーを展開することができ、48対12で勝利することができました。一転して2回戦対鹿児島実業戦は苦しい局面が続き、なかなか自分たちの形を作らせてもらえない時間が長く続きましたが、全員で我慢し続け、最後は何とか自分たちの得意な形へと持ち込んで勝ち切ったその粘り強さこそ、この1カ月半の成長を象徴していました(31対17で勝利)。
ベスト8を懸けた対東福岡高校戦では、一時「0対69」と圧倒される絶望的な展開となりましたが、残り15分。勝負が決した状況下でも、選手たちはあきらめず強化してきた「モール」を中心とし、泥臭く前進し、慶應志木蹴球部らしい2つのトライを挙げました。ノーサイドの瞬間、その表情には悔しさとともに慶應志木ラグビーを貫いた清々しさが溢れていました(14対69で終了)。
振り返れば、プレッシャーがかかる埼玉県予選では、選手たちの表情に硬さや緊張が見られましたが、花園ではまるで別人のように逞しく、純粋にラグビーを「楽しんで」プレーしていました。苦しみの末掴んだ埼玉県予選決勝での勝利から、元日の花園での敗戦まで。慶應志木蹴球部にとって、この1カ月半はまさに「夢のような時間」であり、選手たちが驚異的な成長を遂げた期間でした。1年前に新チームが始動した時には、正月に花園第一グラウンドで東福岡と対戦している姿は、全く想像もできなかった光景でした。
1回戦からスタンドを埋め尽くし、花園をホームグラウンドのような熱気で包んでくださった皆様のご声援に、心より感謝申し上げます。68年の歴史の中で初めて立った花園で得た経験は、部にとって今後につながる大きな財産となりました。慶應志木蹴球部は再び、花園を目指して、1歩ずつ、前進してまいります。
志木高蹴球部花園での活躍──ネコからトラへ、進化を辿る
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川上 純一(かわかみ じゅんいち)
慶應義塾體育會蹴球部
黒黄会(OB会)会長
昭和33年創部、埼玉県では高校登録6番目の歴史あるチームながら、昭和時代は大学蹴球部や慶應高校蹴球部同様のタイガー(黒黄)ジャージの着用を許されず、黒地に胸に黄色線2本の通称「ネコジャージ」が公式着でした。その後、創部30周年を機に黒黄ジャージに変わりましたが、今回、黒黄会は新調の黒黄ジャージを出場祝として進呈し花園へ送り出しました。ネコからトラへの進化の辛く長い道のりでパスを繋いできた歴代の志木高ネコジャージオールドラガーの応援姿が花園にありました。進取の精神で自ら勝ちとった新調黒黄ジャージが全国の晴れ舞台で輝いて見えました。
昭和49年全国高校ラグビーフットボール大会埼玉県予選準決勝、対行田工業高戦に私は高校3年生No.8として出場。歴代で花園に最も近いチームと期待されていましたが結果は6‐12で惜敗し花園出場の夢は潰えました。しかし、同年慶應高校との定期戦で史上初勝利し、創部10数年で実力を蓄えた志木高は存在感を示し、既にネコの皮をかぶった若いトラと化し咆哮を始めていました。
今季になり大学生部員、慶應高校部員の胸を借りに毎週日吉通いで物怖じしない逞しさが身につきました。県決勝前に大学青貫監督より志木高生に激励のカツサンドがふるまわれ慶應ラグビーの絆を味わい奮い立ちました。また、長らく定期戦で交流の同志社香里高校に今回の花園入りに備えグラウンド使用の有り難い申し出をいただき、友情や周囲に支えられ今日があることを改めて実感しました。
昭和時代、部長は長らく新保雅司先生そして現竹井章先生へ連綿とご指導をいただいてきました。部長と楽志会(志木高蹴球部OB会)任命の監督が指導上の相乗効果を発揮するのも一貫校ならではの強みです。オール慶應ラグビーを統括する黒黄会は、各一貫校と緊密に連携し小中高大と齟齬のない体制で、各チームの個性を活かしつつ塾一貫教育の強みを最大限発揮するよう、伝統と革新、そして多様性を融合させる努力を続けています。
志木高蹴球部30年史の石川忠雄塾長の祝辞です。「塾でラグビーを愛し育んだ人々が、長い歳月を通じて培ってきた伝統を思うとき、私は、その絶妙ともいえる調和の良さを強く感じさせられるのである。なぜならば、伝統を創り出す要因が物理的な「時間」そのものではなくて「人」であり、もっと突き詰めていえば、「魂」の集積であるからに他ならない」。
志木の地で、のびやかで野性的な自由の魂の集積を重ね、日吉とは一味違う慶應ラグビーの魂を育み、68年の熟成期間を経て全国へ発信できました。今後はオール慶應ラグビーの牽引車として新たな歴史をドライビングモールのように確実に前進させることを確信しています。
「ネコの魂100まで」。おめでとう志木高蹴球部!そして100年に向けキックオフ!
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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竹井 章(たけい あきら)
慶應義塾志木高等学校
蹴球部部長、体育科教諭