【その他】
【社中交歓】短
2025/02/27

人生にスポーツを
私は以前、国際金融の最前線で成果を上げることを最優先する日々を送っていました。しかし、出張中に訪れたウィンブルドンテニス大会で社交の場に触れたことが、「本当の豊かさ」について考えるきっかけとなり、現在の高齢者向けショートテニス教室の取り組みにつながっています。
スウェーデン発祥のショートテニスは、コンパクトなコートと軽くて短いラケット、減速するスポンジボールを使うため年齢や経験にかかわらず楽しめます。引退後に進学した健康マネジメント研究科では「健康は手段であり、大切なことは生活の質の向上である」という考えを学びました。この考えを基に、ショートテニスが適度な運動強度を持ち、継続すれば前向きな気持ちや人とのつながりを維持してQOLを高める効果があることを研究しました。特に高齢者は社会的支援の整ったプレー環境が重要です。
現場では地域高齢者を中心に、体調管理に気をつけて毎週活動を続けています。これからも、勝敗結果だけではないスポーツの魅力を伝えていきます。
短眠の罠
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八木 義和(やぎ よしかず)
上尾メンタルクリニック院長・1999医
睡眠には心身の休息、細胞修復、記憶定着、感情整理などの重要な役割があります。しかし、「忙しくて時間が足りない!」と睡眠時間を削る人は少なくありません。
ショートスリーパーとは、生まれつき短い睡眠時間(4~6時間)で十分に休息を取れる特異な体質の持ち主です。発生頻度は10万人に約4人とされ、特定の遺伝子が関与している可能性がありますが、詳細は未解明です。
この現象は例外的であり、一般の人が真似するのは危険です。慢性的な睡眠不足は心血管疾患、免疫力低下、うつ病、記憶力低下、さらには死亡リスクを増加させるとされています。個人差がありますが、推奨される睡眠時間は7~9時間で、多くの日本人は慢性的な睡眠不足に陥っていると指摘されています。
健康維持には、自分に合った睡眠時間を確保することが大切です。
いわて短角牛
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工藤 義信(くどう よしのぶ)
岩手三田会幹事・2003総
岩手の牛肉と言えば霜降りで有名な前沢牛を連想する方も多いかと思いますが、赤身牛肉の「いわて短角牛」も忘れてはいけません。
「短角牛(日本短角種)」は、北東北(岩手・青森・秋田3県の一部)から発生した唯一の「和牛」です。全国に約7000頭、その内およそ4割が岩手県内で飼養されており、本県が日本一の産地です。そのルーツである「南部牛」は、四肢が短く足腰が丈夫で、かつ背中が平坦で荷が載せやすく、粗食に耐え従順であること等から、農耕・運搬に大変重宝していました。牛は馬と比べて足は遅いですが、大きな荷物を背負っていても、足場の悪い山道をしっかりと踏ん張って進み、「道草を食って」くれるので、道中の餌にも困らず、重宝したそうです。
全国の肉用牛頭数に占める短角牛のシェアは0.5%以下。非常に希少な牛肉です。高齢化や後継者不足により生産頭数の減少が続き、年々希少さが増している国産の赤身肉。いわて短角牛のほどよい歯ごたえと旨みたっぷりな味わいを是非、ご賞味下さい。
レミゼ作家の短い手紙
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中野 芳彦(なかの よしひこ)
慶應義塾大学商学部准教授
今年は「レ・ミゼラブル」の観劇を心待ちにしているミュージカルファンも多いだろう。原作はヴィクトル・ユゴーの長編小説。あまりの長さがたたって、原作に挑む人にはなかなかお目にかかれないことでも有名だ。しかし1862年の出版当時は違った。刊行初日から売れに売れたのである。ここで思い出されるのが「世界一短い手紙」の逸話だ。売れ行きを気にしたユゴーが「?」と手紙を書き、出版者が「!」とだけ返事をしたというものだが、肝心の手紙の現物が見つかっていない。どうやら当時流布していた小咄が形を変えた、作り話というのが真相らしい。大長編作家のシンプルな「?」はたしかに劇的で、伝説が広まったのも頷ける。
ちなみにユゴーの誕生日は2月26日。あの『レミゼ』の作者が、いちばん「短い」月に生まれたというのは面白い。しかしこんな冷やかしは当人には心外だろう。生を享けた1802年は革命暦の時代で、すべての月が30日だった。ヴァントーズ(風月)は、短い月でもなんでもなかったのである。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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原田 昇(はらだ のぼる)
一般社団法人ショートテニスジャパン代表理事・1977経、1979経修、2008健修、2018健博