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【KEIO Report】慶應義塾体育会LEAP20年の歩み──20周年記念式典の挙行

2024/05/27

  • 宇田川 高史(うだがわ たかふみ)

    LEAP前代表・第一期講師、弁護士・2003法[スケート部ホッケー部門]

LEAP(Leadership Education Athlete Program)とは、リーダーシップは先天的な能力ではなく後天的に伸ばすことができるスキルであることを説いた中野森嚴氏(元三田スケート倶楽部会長、1952年卒、故人)が創設した慶應義塾体育会に導入された独自の実学ゼミナールです。スケート部では、中野氏が体育会に先駆けて1999年からIST(internship training)との名称で研修を行っていました。その後、塾体育会の要請を受けた中野氏はLEAPを創設し、リーダーシップの研修を通して塾体育会を強くすると共に、社会の先導者たるリーダーを育成することを目的として2003年から体育会学生全体に向けた講義が開始されました。現在では、様々な部のOB・OGから選任された社会人講師・事務局が、独自の教育プログラムによってトレーニングを積んだ学生講師・事務局と共に、毎年43部の体育会学生を対象に年間約150名~200名の部員に対して講義をしており、これまで延べ4千人以上の体育会学生が受講しています。

LEAPではリーダーシップを発揮するためのスキルや考え方について、グループディスカッションや、社会人講師・学生講師(4年生)の経験談を中心に相互にコミュニケーションを取りながら学習します。具体的には、リーダーシップ/マネージメントに必要な10のスキル(創造性開発力、計画力、組織化力、時間管理力、権限委譲力、統制力、問題解決力、コミュニケーション力、動機付け力、リーダーシップ力)を体系的知識として習得する機会を提供しています。

受講した体育会学生は、これらの知識やスキルを部活動の中で実践することで「文武双全」を実現することができます。そして、実践する経験を積むことで実社会に出た瞬間から部活動を通じて培った力やスキルを最大限に発揮することができます。このように、まさに慶應義塾の「半学半教」の精神に合致する活動が塾体育会全体に根付いたといえます。

そして、LEAPの活動は2023年度をもって20周年を迎えました。2024年2月4日(日)には、塾体育会、三田体育会、各部先輩団体、体育会学生などの関係者約200名をお迎えし、慶應義塾体育会LEAP創立20周年記念式典・祝賀会を執り行いました。

記念式典は日吉キャンパスの藤原洋記念ホールにてLEAPの歴史と活動を紹介するオープニングムービーで幕を開けました。塾歌斉唱後、LEAP代表の私よりご挨拶させて頂き、さらにLEAP世話人を代表して永野毅様(東京海上ホールディングス株式会社取締役会長)からご挨拶を頂きました。また、来賓を代表して、伊藤塾長よりビデオメッセージを、常任理事の山内慶太氏と三田体育会会長の奈藏稔久氏からお祝いと激励のお言葉を賜りました。

その後、第1期講師の岡山悠太君(アメリカンフットボール部、2004年卒)より、これまでのLEAPの歩みと今後の展望についてご報告申し上げました。

そして、記念式典のメインイベントとして、「体育会をサポートするLEAPのあり方」と題して、パネルディスカッションを行いました。パネリストとして、山田善則氏(準硬式野球三田会、1969年卒)、小林さと子氏(三田フェンシングクラブ、1978年卒)、呉文翔氏(第3期講師・三田スケート倶楽部、2006年卒)をお招きし、私がモデレーターとして進行しました。

山田氏には先輩団体目線で、どのような観点で人材育成をされ、どのようにLEAPを活用されているかをお話し頂きました。小林氏は、創設者である中野氏が2003年に開催した監督・コーチ向けのLEAP研修を受講されていらっしゃいます。そこで、普通部、高校、大学のフェンシング部において、LEAPで得たスキルや知識をどのように活かして指導していらっしゃるのかを、指導者目線でお話し頂きました。そして、卒業後に大手商社に勤務された後、Harvard Business Schoolに留学された経験をお持ちの呉氏には、部活やLEAP講師としての活動を通じて培ったスキルや知識を社会人としてどのように活かしてキャリアアップしてきたのか、体育会学生目線でお話し頂きました。ご参加頂いた方々には、LEAPの活動意義のみならず体育会の経験がいかに社会において役立つかについても具体的にイメージして頂けたのではないかと思います。最後は、應援指導部による指揮のもと若き血を斉唱して記念式典は中締めとなりました。

次に、会場を日吉キャンパス内のファカルティラウンジに移して祝賀会を開催しました。

はじめに、2024年度より私からLEAP代表を引き継ぐ高尾祐輝君(弓術部、2009年卒)よりご挨拶させて頂き、これからLEAPが挑戦していく変化について宣言致しました。そして、LEAP世話人を代表して名誉教授の渡部直樹氏からご挨拶を頂き、また、ご来賓を代表して体育会理事の小茂鳥潤氏より乾杯のご発声を賜りました。

さらには、LEAP創設時に大変お世話になりました前三田体育会会長の西岡浩史氏に当時の思いや創設者である中野氏のお人柄などをお話頂きました。

歓談の時間には多くの方々から激励の言葉を頂き、創設者の中野氏の後輩を思う熱い思いに塾体育会、三田体育会の多くの方々の力が加わり塾体育会ならではの「半学半教」のリーダーシップ研修が始まりました。そして、この20周年を迎えて多くの関係者の方々が記念式典・祝賀会にご参加くださったことでLEAPの新たなステージが開かれたように感じました。

その後、2024年度の体育会本部主幹を務める野田稜雅君(水泳部葉山部門)の挨拶があり、また、LEAP世話人の増田規一郎氏(三田体育会顧問)より中締めのご挨拶を頂きました。

このように、慶應義塾体育会LEAP創立20周年記念式典・祝賀会は、多くの方々のお力添えをもって盛会となりました。これからもLEAP関係者一同、塾体育会ならではの意義ある活動を継続し、体育会学生の成長を支援すると共に塾体育会の発展に貢献して参ります。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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