三田評論ONLINE

【その他】
【社中交歓】辰

2024/01/29

独眼龍と虎

  • 伊達 啓公(だて ひろきみ)

    株式会社藤崎常勤監査役、仙台三田会会員・1976政

「独眼龍(竜)」は、隻眼の英傑に対して与えられる異称だと辞典にあります。その最初の人は、中国唐朝末期の猛将・李克用(りこくよう)とされますが、日本では何と言っても伊達政宗ということになると思います。

政宗は、1567年に現在の山形県米沢市に生まれ、幼名を梵天丸(ぼんてんまる)と称しました。5歳のときに疱瘡を患って右目を失明してしまい、あまり人前に出たがらない少年になっていったといいます。父の輝宗はその嫡男の教育のために、臨済宗の傑僧として著名であった虎哉宗乙(こさいそういつ)を迎えました。あるとき梵天丸が「自分の片目が見えないのはどうしてか」と聞いたそうです。虎哉禅師は「梵天丸様の目は龍が持っていったのです。龍は雲を呼んで天に昇る。龍は若殿が強い大将になるのを見守っているのです」と答えました。梵天丸の心にポッと火が灯ったことでしょう。

「虎」に学び、成長していった「独眼龍」。2人の師弟関係は、虎哉禅師が82歳で世を去るまで、約40年にわたり続いたと言われています。

日本中を、ドラクエに

  • 田母神 龍(たもがみ りゅう)

    CMプランナー・2007理工、09理工修

辰年に、名前が龍な私に、ドラゴンクエストの仕事を紹介してほしいという、担当者の方が色々龍を重ねたいというご希望でお声がけいただきました。

CMプランナーをしています。今回ご紹介するのは、スマホ位置情報ゲーム「ドラクエウォーク」の期待感を、映像で話題化してほしい、という案件です。

まず、ゲームを一言であらわす言葉を「日本中が、ドラクエになる」と設定しました。ストーリーもそれに合わせ、人々が日常でモンスターに遭遇する臨場感を表現するべく、撮影手法を通常CMで使用するようなカメラではなく、あえてスマホで撮影していきました。そこにモンスターたちを高度なCGで加えていきました。つまり、制作コストのかけかたをいつもと違う形式にしたということです。

スマホで撮ったことで、スマホゲームをプレーするユーザー主観の臨場感がうまく伝わったり、そこに加えたリッチなCGとの違和感から、あまり見たことのない新しい映像表現になっていったのでは、と思っています。

「竜」の眼で心身を癒す

  • 玉田 真由美(たまだ まゆみ)

    医療法人深緑会麻布ミューズクリニック院長・2012医修

皆さんは「竜眼(りゅうがん、龍眼)」というライチによく似た果実をご存じでしょうか?

丸くて白い半透明の果肉の中に大きな黒褐色の丸い種子があり、果肉からその種子が透けて見える様が「竜の眼」に似ていることから、「竜眼」と名付けられたといわれています。

「竜眼肉(りゅうがんにく)」という生薬はこの竜眼の可食部を乾燥させたものです。そのまま食べることもできますし、お茶や料理に使うこともできます。味は甘く、体力を補い、精神を安定させ、神経の興奮を鎮める効能があるとされます。漢方薬では、貧血や疲れきったことによる不眠、不安などに対して処方される「帰脾湯(きひとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」に含まれています。

「竜眼肉」という名前だけ見るとギョッとしてしまいますが、その強そうな名前とは裏腹に心身ともに癒してくれる優しさがあります。

2024年は「辰年」です。「辰(竜)」にちなみ、心身の疲れを感じた時、甘い竜眼肉をおやつ代わりにとりいれてみてはいかがでしょうか。

ブレインテックの昇龍

  • 小倉 進太郎(おぐら しんたろう)

    株式会社タツノオトシゴ代表・2011法、13政メ修

教育業に携わり17年超、短期集中英会話を効率的に記憶定着させる方法を模索中、ストレス・集中・リラックスといった自分の状態が測れる脳波解析に出会いました。これはあらゆる習得の鍵になると確信し、パーソナル学習ができるブレインテック事業の起業を決断。脳科学の難解な印象を和らげ、教育の底上げでSDGsに貢献するべく沖縄で事業を始めました。記憶に関わる脳の部位は海馬と言い、沖縄も海馬も形がタツノオトシゴに似ています。そこから世にないものの象徴である龍の“落とし子”として「豊かな社会を、脳で」をビジョンに脳科学で新基準を作る革新的存在を目指して社名としました。新年直前に脳波解析システムで特許を取得でき、辰年生まれの私とタツノオトシゴと辰年、「3つの辰」に一粒万倍“年”のような縁起の良さを感じています。その年に母校機関誌に掲載頂けることは幸先良いスタートです。若き血燃ゆる甲子園での母校の活躍のように、三田の昇龍“タツノオトシゴ”が脳科学分野で飛躍できますよう、皆様のお力添えを是非!

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

  • 1
カテゴリ
三田評論のコーナー

本誌を購入する

関連コンテンツ

最新記事