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【社中交歓】サングラス

2023/07/28

サングラスとUVケア

  • 井上 真(いのうえ まこと)

    杏林大学医学部眼科教授・1989医

紫外線のような短波長光は眼表面の涙液や角膜でほとんど吸収されてしまいます。角膜を通過した紫外線は水晶体で吸収されます。そのため紫外線による眼の障害は紫外線角膜炎、翼状片、白内障が知られています。紫外線角膜炎は強い紫外線に暴露した後に起こる急性の表層角膜炎で、眼痛や流涙が生じます。代表的なものに雪面からの紫外線の反射で生じる雪眼があります。結膜組織が周辺から角膜に迷入する翼状片は、角膜中心まで進展すると視力障害を起こします。白内障は水晶体の混濁で進行すると視力障害が生じます。

UVケアとは、紫外線から肌や眼を保護することを指します。サングラスは強い日差しなどによる明るい光を軽減し、UVケアにおいても重要な役割を果たします。重要なのは、適切なUVカット機能を備えたサングラスを選ぶことです。UV400は眼に有害な400nm以下の波長の光(UV-AとUV-B)をカットすることを意味します。UVケアのためにUV400のサングラスを選びましょう。

夏でも冬でも

  • 守田 実紗子(もりた みさこ)

    ニューサウスウェルズ大学ニューカレッジ広報、シドニー三田会会員・2009政

“Slip, Slop, Slap, Seek, Slide!”──豪州で広く浸透している、紫外線から身を守る行動を啓発するためのスローガンだ。「外出時は、長袖を着て、日焼け止めを塗り、帽子を被って、日陰を探し、そしてサングラスの着用を忘れずに!」。当地で育った友人は、小さい頃から屋外で遊ぶ際には必ず、学校の先生や両親にこう言い聞かされていたという。老若男女、季節を問わずに大切な、いわば5種の神器といったところか。ちなみにサングラスのことをカジュアルにSunniesと呼んだりもする。

抜けるような青空の下、海と緑に囲まれたシドニーに魅了され、この街で職を得てからもう2年が経つ。朝夕の光を浴びてきらきらと輝く水面。住宅街の何気ない通りで鮮やかに目を惹く原生の花々。不思議な声で囀るカラフルな鳥たち。どれもが瞬きを惜しむほどの美しさだが、今日も我が身を守るべく、「ずっと直接見続けていたいんだけどな」と思いつつも、サニーズ越しの景色を楽しむとしよう。

(著者がシドニー・マルーブラにて撮影)

世界と向き合うための

  • 伊藤 弘了(いとう ひろのり)

    熊本大学准教授、映画研究者=批評家・2013法

「この世界は僕には眩しすぎる」。久しぶりに会った友人は、僕を一目見たときから訝しげな表情を浮かべていた。自分がサングラスをかけている理由について、まさかそんなキザなことを言うわけにもいかない。いたたまれなくなった僕はつい「……似合っていないのはわかっている」と弁明めいたことを口にする。「わかっているならいいよ」と友人。

映画「マトリックス」シリーズのルックを決定づけているのは間違いなくサングラスであり、全体を通じて目が象徴的な役割を果たしている。仮想現実から目覚めた直後に、ネオは「目が痛い」と言う。実際に目を使うのは初めてだからだ。3作目の「レボリューションズ」ではエージェント・スミスに失明させられるが、それによって世界の真実の姿が見えるようになる。オラクルの企みによってスミスが最後に爆発四散する際には、目から溢れ出た閃光がまずサングラスを貫いていた。映画の掉尾を飾るのは少女サティがネオのために用意した日の出である。それは眩しいほどに美しい光景だった。

「目の力」を活かすために

  • 中野 源⼀(なかの げんいち)

    アルティメット競技選手・2017経

私は現在、アルティメットというフライングディスク(いわゆるフリスビー)を使ったスポーツの選手として、アメリカにある世界で唯一のプロリーグに挑戦しています。

サッカーやバスケと同じくらい運動強度があるこのスポーツを続ける上で、体力・筋力等のフィジカル面、またそれを支えるトレーニング・栄養・睡眠の質を上げるだけでなく、「目」にも意識を向けてきました。動体視力や深視力といった言葉を聞いたことがありませんか。スポーツ医科学の分野ではスポーツビジョンとも呼ばれます。これらももちろん身体機能の1つですから鍛えることと同じように、ケアすることも大切です。今でこそ、プレースタイルの変化で着用機会が減ってしまいましたが、サングラスで炎天下の日差しや紫外線からできるだけ目を守ろうとしたこともありました。

無論スポーツ選手だけの問題ではないと思います。気にするべきは肌の日焼けだけでなく、目の日焼けも。今年の夏はそんなことも意識してみませんか。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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