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【社中交歓】おにぎり

2023/06/27

「おむすび山」とともに

  • 髙畠 暁洋(たかばたけ あきひろ)

    三田剣友会、讃岐三田会会員・1974法

私は毎日「おむすび山」に見守られて暮らしています。庭仕事の時、畑にいる時、墓参りをしている時も一緒にいます。このおむすび山とは香川県丸亀市にある「飯野山(いいのやま)」のことです。この里山は名前だけでなく形もおむすびです。つまり富士山の形なので地元では「讃岐富士」と呼ばれています。私の母校の校歌にも、秀麗富士(小学校)飯野のあたり(中学校)富士のもと(高校)と歌われています。

このおむすび山を全国的に有名にしたのが、2011年11月に丸亀市で開催された「第1回全国里山富士サミット」です。富士山の形をした里山を持つ各自治体がそのPRと連携を全国に発信したのです。その時に飯野山の登山イベントもあり、私の家族も参加しました。丸亀城から飯野山までの7キロの歩きと標高422メートルの登山でした。岩がゴツゴツ出た途中の登山道を足元を気にしながら声を掛け合って登った記憶が今も懐かしく蘇ります。

飯野山は、仰き見ても登ってもため池に映して見ても、私たちが親しみ誇る「おむすび山」なのです。

おにぎりに適したお米の探し方について

  • 金井 繁行(かない しげゆき)

    「真田のコシヒカリ小松姫」生産農家・1984法

おにぎりの美味しさは、主な原料のお米の良し悪しに全てがかかっているといっても過言ではありません。従って、良いお米を選べば、誰でも簡単に美味しいものが作れます。

美味しいお米は、炊飯した時の甘い湯気の香り、噛むときの程良い甘さ、粘り気のある噛みごたえ、滑らかな喉越し等々を楽しむこともできます。では、どのようにして、そのようなお米を手に入れるか? そこで提案です。美味しさにこだわるプロの農家から直接購入されてみては如何でしょうか? 参考までに、世界最大の米コンテスト「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」において、毎年入賞している「常連組」といわれている農家の中には、生産から販売まで一貫して行っている農家がたくさんいます。年度毎の同コンテストの入賞者はネットで簡単に検索できます。是非一度チャレンジしてみてください。ちなみに、真田のコシヒカリ小松姫は7年連続入賞、その内金賞受賞4回です。

おむすびの歴史

  • たにりり

    農政ジャーナリスト・1989法

おむすび人気が沸騰しています。専門店は出店ラッシュ、コンビニ各社は競って新商品を打ち出しています。人気の秘密は、その歴史にありそうです。

はじまりは神話の時代。稲の霊が宿るお米を、神が住む山の形に整え、男神の高御産巣日神(タカミムスビノカミ)と女神の神産巣日神(カミムスビノカミ)に供えました。おむすびの原型は平安時代の屯食(とんじき)。蒸したもち米を握ったもので、宮中の宴の際に下級者に下賜されました(おむすびは女房言葉)。

武士に広まったのは承久の乱。北条政子が梅干し入りおむすびで、鎌倉武士を鼓舞しました。戦国時代には兵士の携帯食になり、江戸時代にようやく精米された白いおむすびが庶民に広まりました。

そして現代。三角おむすびが全国的に広まったのは、セブンイレブンがきっかけです(詳しくは拙著『大人のおむすび学習帳』で)。

実はこのお米にまつわる歴史にこそ、日本が持続可能な国であり得る秘密が隠されています。詳しくは拙著『稲作SDGsをお米のプロに学ぶ』(星雲社)をぜひご一読ください。

『稲作SDGsをお米のプロに学ぶ: 食卓と里山をつなぐ36人の「マーケティング力」』
たにりり
星雲社 2022年

コンビニおにぎりの今

  • 北村 森(きたむら もり)

    サイバー大学IT総合学部教授、商品ジャーナリスト・1991政

1970年代後半からフィルム包装の改革などが続いて食感が格段によくなったり、21世紀に入って具材のバリエーションが格段に広がったり、コンビニおにぎりは進化を遂げてきました。その結果、現在の状況はどうなっているか。「3」「2」「1」という数字を使ってお話ししてみましょう。

まず「3」。海苔の国内消費のなかで、コンビニおにぎりの占める割合は3割にも上るといわれています。ひとつの商品領域によって市場の構造が大きく変わった典型事例と表現してよさそうです。

次に「2」。コロナ禍が一段落し、人の移動に制約がなくなりつつある今、コンビニおにぎりの販売高は大幅復調。例えばローソンでは、今年に入って前年比およそ2割増で推移しているといいます。

最後に「1」。総務省の家計調査で、2人以上世帯のおにぎりへの支出額は昨年、5,172円と過去最多、つまりこれまでと比べて一番となりました。

どれも、コメ離れの時代と長年いわれながらコンビニおにぎりが大奮闘しているのを示す数字ですね。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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