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【時は過ぎゆく】コロナ禍に体育会馬術部100年の歴史の重みを仰ぐ

2022/04/26

創部100周年記念式典にて
  • 塚本 浩一(つかもと こういち)

    体育会馬術部100周年記念事業実行本部長

本塾・体育会馬術部は、お蔭様で2020年に創部100周年を迎えることができました。これもひとえに、100年という永い間に様々なかたちでご指導、ご支援を頂戴してまいりました数多くの関係者の皆様のお蔭であり、歴史を築いてこられた諸先輩方の賜物です。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

本塾体育会の11番目の部として1920年に設立された馬術部が創部100周年を迎えるにあたり、馬術部および先輩団体である三田乗馬会は、この機会に、今までにお世話になった方々に感謝の意を表すとともに、部のさらなる発展のために練習環境や馬匹の飼育環境を改善すべく、「日吉馬場の全面改修」「日吉厩舎の増改築」「100周年記念誌の編纂」「100周年記念式典の開催」という4つの事業を実施することとしました。

まず「馬場の改修」です。馬術部の練習は、日吉キャンパスの一角にある馬場で行っていますが、この日吉の馬場が、長年の間に平坦でなくなり、水捌けも悪くなっており、馬の命ともいえる脚に影響が生じていました。そこで、現在の土壌を一旦すべて撤去して整地し直してから、新たに水捌けを考慮した三層構造の土壌を敷設することとしました。

2020年夏、馬と部員が合宿で日吉を空ける間に施工することを計画したのですが、折しも新型コロナウイルスが流行、体育会各部は活動停止を余儀なくされ合宿は中止。馬術部員は工事期間中、神奈川県津久井にある馬術競技場の厩舎を借りて活動を行い、部員は、感染症対策に苦労しながら、自宅から津久井まで毎日通うという非常に厳しい活動を強いられることとなりました。

そのような努力もあって、2020年9月に、日吉馬場は、開設以来はじめて全面的に改修され、生まれ変わった馬場が誕生いたしました。

次に実施したのが「厩舎の増改築」です。既存の厩舎は昭和59年に建設されたものですが、近年では馬が大型化していることから馬房(馬の部屋)が手狭になり、馬のウエルフェアの観点からも快適性を向上させる必要がありました。また、既存厩舎2階にある厩務員さんの住まいや部室も老朽化していました。そこで、既存厩舎の馬房拡張、広い六馬房を備えた厩舎の増築、既存厩舎2階の全面改修を計画しました。

本工事は、馬場改修工事の翌年、2021年の夏に、同じく夏に馬と部員が不在となる期間に施工する予定だったのですが、またしても新型コロナウイルスの第5波が襲ってきました。前年同様、馬を輸送したうえで部員は津久井通いを余儀なくされ、2年連続で彼らは多くの制約下での夏を送ることになりました。

それでも無事に竣工し、新たな環境で部活動を再開することができ、部員の心技体の向上、ひいては競技成績の成果にもつながるものと確信しています。

これら2つの工事は、すべて塾管財部にご担当頂くとともに、体育会事務室の全面的なご指導の下進めてまいりました。多くの先輩や関係者の皆様から頂いた募金によって実現できた事業でもあり、心より感謝申し上げます。

並行して「100周年記念誌の編纂」を進めました。部員を動機づけ、部をより強くするためには、部員たちが過去の歴史を知ることが欠かせません。また、部外のさまざまな方に本塾馬術部のことをより知って頂くためにも、100年の歴史を形あるものにしっかり刻むことが非常に重要であると考えました。

創部75周年の際に、当時の先輩方の多大なご尽力によってできた大作「創立75周年記念誌」を礎として編纂にかかりました。さまざまなエピソードやビジュアルをふんだんに盛り込み、できる限り記録を調査して、多くの方が手に取って読んでいただけるように、よりリアルで、よりダイナミックなものとなるよう工夫を凝らしました。

こちらも感染症の影響でインタビューや資料収集がままならない時期が生じましたが、担当者全員の努力とチームワークにより無事完成の運びとなりました。100周年記念式典にご出席いただいた皆様にお持ち帰りいただいたほか、内外の関係者の方々にお渡しています。

4つの事業のトリが「100周年記念式典の開催」です。長い歴史を通してお世話になった多くの関係者の皆様に感謝の意を表すとともに、馬術部のOBOGが集い、部の未来を応援すべく結束を高める場となるよう、できるだけ盛大な会にしようと検討を始めました。

当初、2020年3月に開催する計画を立てていたところ、こちらも感染症の影響により1年延期。あらためて本年3月5日に開催することとしていましたが、年明けの第6波によって式典における飲食は断念せざるを得なくなり、大幅に内容を縮小した形で開催することを急遽決断しました。この間、さまざまな変更対応をはじめ、企画・準備に奔走したメンバーたちの努力によって、なんとかグランドプリンスホテル新高輪にて開催にこぎつけることができました。

当日は、伊藤塾長をはじめとする塾執行部の皆様、体育会各部の監督・OB会長の皆様、馬術界のさまざまな関係者の皆様、三田乗馬会会員、塾高生・女子高生をふくむ部員、254人が参加して式典を無事執り行いました。塾長からは「馬術部員たちは、コロナ禍をもしっかり乗り越えていくものと確信している」との熱い励ましの言葉を頂戴し、一同深く胸に刻んだところです。

100年の歴史は、関東大震災、第二次世界大戦などの惨禍を克服してきた歴史とも言えます。100年目に新型コロナウイルスと闘ったことは、次の100年に向けて、苦難を乗り越えてこそより人は成長することができるということの暗示なのかもしれません。今後もさまざまな困難が待ち受けていることと思いますが、部員諸君には、未来は必ず拓けると信じて精進を続けてほしいと願いつつ、体育会馬術部がさらに発展することを祈念しております。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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