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【Keio Report】「慶應義塾三田オープンカレッジ」開講

2019/03/27

  • 大石 裕(おおいし ゆたか)

    慶應義塾常任理事

2019年4月、「慶應義塾三田オープンカレッジ」が始まる。生涯教育とリカレント教育を目的に、春学期13講座、秋学期11講座が、三田キャンパスで開講される(左頁参照)。この講座は、レクチャー形式(受講者50~80名)、ゼミ形式(受講者10~20名)から成っている。開講回数はいずれも8回、土曜日に実施される。

「箱庭のような」と、よく評される三田キャンパス。その狭隘さゆえに、ふだんは塾生であふれかえっている。ところが、週末や長期の休みにこのキャンパスを訪れると、まったく違う風景に出会うことになる。整然と建物が並び、歴史の重みが十分に感じられる。この三田の地に、そして週末の土曜日に、学部教育、大学院教育に続く、生涯教育とリカレント教育のための講座が開講されるのである。

慶應義塾大学には、通信教育課程がすでに存在する。開講したのは1948年、70年以上も前のことであり、今も8000人を超える塾生が在籍している。また、「福澤諭吉記念文明塾」、慶應学術事業会が行っている「慶應丸の内シティキャンパス」、さらには様々なキャンパスで市民講座なども実施されている(このうち「福澤諭吉記念文明塾」は、2019年3月をもって終了するが、ここでの講座はこのカレッジの中に組み入れられている)。生涯教育とリカレント教育に関しては、慶應義塾にはこのように長い歴史と多くの実績がある。

そうした中に、この慶應義塾三田オープンカレッジは新たな1頁を加えることになる。「もう1度、学生時代に戻ってみたい」、「自分の知らない学問にチャレンジしてみたい」、「好奇心の赴くままに本を開いてみたい」、「新たな仲間と出会いたい」、動機はなんでも構わない。キャンパスを懐かしいと思いながらも、足を運ぶ機会があまりない塾員にとっては、慶應との距離を縮める絶好の機会になるだろう。受講生の資格は、もちろん塾員以外の方々にも開かれている。

インターネットの時代、情報は簡単に手に入れることができる。しかし、場所と空間を共有しながら、表情を互いに確かめ合いながら、講師の声を直接聞いて、質問して、他の受講生と議論するのも悪くはないはずである。というよりも、ここにこそ教育の原点がある。コミュニケーションを行う際のキーワード、それはアクセスと参加である。どうか、この三田オープンカレッジにアクセスし、講義やゼミに積極的に参加していただきたい。敷居は決して高くない。旧友たちと誘い合い、家族連れ添って、三田の地に来ていただきたい。
https://www.moc.keio.ac.jp/

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