【新 慶應義塾豆百科】
幼稚舎150周年──仔馬たちを見守る風景
2024/10/31

幼稚舎の正面玄関を入ると、玄関脇右手の壁面には影絵作家の藤城清治氏が作られた「光陰の中の巣立つ仔馬たち」という影絵が、左手にはクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がデザインされた幼稚舎150周年記念ロゴが飾られています。幼稚舎生が登下校時に正面玄関を通る時、この2つの作品がいつも温かく見守ってくれています。
2008年1月29日に設置された「光陰の中の巣立つ仔馬たち」の影絵には、幼稚舎のグラウンドに空高くそびえるケヤキと、その周りを走り回る仔馬たちが大空へととび立ってゆく様子が描かれています。仔馬とは幼稚舎生のことです。藤城氏は、「幼稚舎を知っている人が見れば、すぐ幼稚舎と分かる風景を影絵にしてほしい」との依頼を快く引き受けてくださいました。影絵と共に贈られた詩に刻まれているとおり「(略)仔馬たちは多くを学び大きく育ち やがて、すばらしい夢と希望を抱いて駿馬となり、未来に向って大空へととび立ってゆく」様子がダイナミックに描かれており、幼稚舎での6年間を見事に表しています。
2024年に幼稚舎が創立150周年を迎えるにあたって作成された150周年記念ロゴは、「異なる個性が共生して輝く150年」をコンセプトに佐藤氏によってデザインされ、佐藤氏と教員が何度も話し合いを重ね、2022年1月に完成したものです。「それぞれのクラスカラーで彩られたK・E・I・Oの文字はすべて違うフォントで構成されながらも、ペンマークの元でしっかりひとつにまとまっています。YOCHISHAの文字は、まるでいろいろな個性の幼稚舎生が肩を寄せ合って元気に並んでいるようです。ユニークな150THの文字も、1年として同じ年はなかった150年という歳月の歴史を物語ります」との佐藤氏の説明の通り、「違いを認め合いながら共生して輝いている」幼稚舎らしさが表現されています。
そして、影絵と150周年記念ロゴを通り過ぎた先にある広いグラウンドの真ん中には、幼稚舎のシンボルである大きなケヤキの木が1本そびえ立っています。ケヤキはもともと2本ありましたが、安全上の理由から1本は2021年に伐採されました。朝礼、体育の授業、クラブ活動、休み時間など、大きなケヤキが幼稚舎生をいつも見守ってくれています。
幼稚舎は本年5月30日に創立150周年記念式典を日吉記念館で開催し、在校生、保護者、教職員、卒業生等の関係者約3千名が出席しました。150年という歳月は長く、多くの方々に支えられてきたことを改めて感じました。次の175周年、200周年に向けて、幼稚舎の風景は変わっていくかもしれませんが、いつまでも幼稚舎生を温かく見守る場所であり続けることを願っています。
(幼稚舎事務長 廣田純子)
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