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【新 慶應義塾豆百科】
KGRI

2024/01/31

KGRI が入る三田キャンパス東館

KGRI(ケージーアールアイ、または「ケイグリ」と呼ばれることもあります)は、正式名称を「慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(Keio University Global Research Institute)」と言います。

その沿革をたどると、2000年4月に文部科学省の学術フロンティア推進事業採択を契機として発足した「グローバルセキュリティ・リサーチセンター(G-SEC)」に端を発します。地球規模で連鎖的に発生する突発性危機問題を対象とした政策研究を行うことを目的として設置されたG-SECは、外部資金導入型のプロジェクト型研究の実施拠点であると同時に、寄附講座・公開講座などの教育活動も行うセンターでした。2004年6月には、これをさらに発展させ、「グローバルセキュリティ研究所」と名称を変えて、現代社会が直面する課題に対し、先端的研究拠点として、本格的な全学的共同利用の研究所となりました。

その後、2014年に、義塾は「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択され、「長寿」「安全」「創造」の3つのクラスターで、分野横断的な研究を推進することを打ち出しました。これを実践し、その成果を広く国際的に発信することで、「実学(サイヤンス)」により地球社会の持続可能性を高め、さらに義塾のグローバル化を推進することを目的として、2016年にKGRIが発足しました。

学部・研究科横断的な全塾的組織としての研究拠点(センター)の設置・改廃・運営・人事等を機動的かつ柔軟に行う組織には「先導研究センター」も2008年に設置されていましたが、2020年3月に廃止され、その機能は、KGRIに移管されました。現在のKGRIのもとには、40を超える分野融合研究プロジェクト、センターが設置され、義塾の学部・研究科の枠を超えた研究者たちによる新領域研究が展開されています。

こうした、分野横断型の研究推進というKGRIの機能を、より戦略的に展開するために、2022年からKGRIに新たなミッションが加わりました。

10学部14研究科を有する慶應義塾には、分野を問わず、多くの先駆的で価値の高い研究活動が行われています。しかしながら、こうした研究成果についての塾内外からの認知度は、決して高いとは言えない状況が続いていました。そこで、義塾の研究者の研究内容と魅力を広く紹介するShowcaseの役割を果たし、国際的に価値の高い新領域研究の創出を推進することを始めています。

現在のKGRIに至るまでの道のりを俯瞰してみると、その根底には、福澤諭吉先生が唱えた「実学の精神」により、未来の社会を先導することが、根底に流れていることは言うまでもありません。

KGRIの詳細はこちらでご覧いただけます。

(学術研究支援部長・金子康樹)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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