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【新 慶應義塾豆百科】
東急・相鉄新横浜線の開通

2023/07/31

日吉から新横浜へ向かうトンネル開口部

2023年3月18日(土)、東急と相鉄の新横浜線が開通した。これによって湘南台と日吉が繋がり、さらに東急目黒線・都営三田線への相互乗入れで三田と直結するだけでなく、芝共立キャンパスの御成門までが1つのライン上に乗り、慶應義塾のキャンパスが巨大な鉄道ネットワークで結ばれることになった。

新横浜線とは、相鉄本線の西谷から分岐し、2019年11月に先行して開業している羽沢横浜国大から新横浜を経て日吉に至るもので、新横浜を境に西側を相鉄新横浜線、東側を東急新横浜線として構成されている。

新横浜から地下で進んで来た線路は、一旦東横線の下を潜り抜け綱島街道下に設けられた新綱島に達した後に目黒線の留置線を挟むように地上に出て日吉に繋がる。そこからは東横線と目黒線の2系統に分かれる。東横線ルートは、東京メトロ副都心線を経由して東武東上線への乗入れ、また目黒線ルートは、都営三田線と東京メトロ南北線に相互乗入れし、南北線はさらに埼玉高速鉄道線に繋がる。日吉のホームに表示される多様な行き先と、複数の地下鉄や私鉄の車両が入り乱れる風景は、今春からさらにメンバーが増えることになった。なお、相鉄から東急への乗入れは、海老名からの相鉄本線が目黒線へ、湘南台からのいずみ野線は東横線へとほぼ明確に運用系統が分かれている。

四半世紀前の1996年11月に発行された塾生・保護者向け広報誌「塾」201号には「義塾をとりまく交通網の利便化」をテーマに巻頭特集が組まれている。

この時代、田園調布駅の前後は擁壁を切り崩すほどの大規模な工事が行われていた。緑色の古くて短い編成の「目蒲線」が東横線と並行していたが、これを地下化して多摩川(当時は多摩川園)駅で系統を分け、都心方面を目黒線とし、日吉から田園調布の区間は東横線を複々線化して都心への新ルートを造る大工事中であった。武蔵小杉まで完成して目黒線が誕生するのは2000年で、三田線と南北線との相互乗入れが開始され、三田と日吉間の交通アクセスは革命的な変化を遂げる。さらに日吉と武蔵小杉間が繋がったのは2008年。これで三田駅のホームに日吉行の電車が来る時代が到来した。

一方、1990年に開設された湘南藤沢キャンパスの最寄り駅は小田急江ノ島線の湘南台であったが、ここを目指して相鉄のいずみ野線と横浜市営地下鉄のブルーラインが延伸工事を行っており、1997年春の開通を目前に湘南台駅は3つの路線が集結する大ターミナル駅へ変貌する駅全体の大改造工事が仕上げに近づいていた。さらに日吉と相鉄線を繋ぐ路線について「期待大の計画線である」と解説されていた。それが四半世紀を経て、ついに実現に至ったことになる。

(総務部長 高野泰彦)

「塾」319号(2023年7月1日)から転載

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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