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【新 慶應義塾豆百科】
志木高自然観察会

2022/07/29

志木高等学校は、都会の喧騒から離れた落ち着いた場所にあります。107,345平米もある広大な敷地を有しており、校内にはビオトープ、竹林、農園などがあります。180種を超える樹木、400種を超える野草、多くの野鳥や昆虫類等、動植物を擁する武蔵野雑木林の面影を残す豊かな森に囲まれています。これだけの自然環境を敷地内に有している学校は都会では少ないと思います。

敷地内にある防火用水には、1993年に初めて抱卵が確認されて以降、毎年、カルガモが飛来しては育いく雛すうするという営みが繰り返されています。残念ながら途中、カラスやヘビなどに襲われるなどして一羽も巣立てなかった年もありますが、数羽ずつながらも確実に巣立ってくれています。そして、巣立ったヒナたちがパートナーを見つけて、再び防火用水を訪れてくれる姿に生徒も教職員も癒されています。

この豊かな自然を活かして、2007年より年2回「自然観察会」を開催しています。ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響で開催が見送られていますが、地域の住民の方々に本校のことをより良く知っていただくための交流の場と考えています。これまでの27回で累計1,802名の方にご参加いただきました。自然観察会では生育・棲息する四季折々の動植物を実際に散策しながら観察していただいています。生物の授業を選択する3年生が学生インストラクターを務め、広大な敷地の中に設けられた観察ポイントで、グループごとに回ってくる見学者に様々な解説を行い、それぞれの生物が持つ特徴を学んでもらうお手伝いをしています。その際には、校内に残る歴史的文化遺産でもある史跡「野火止用水跡」の見学なども併せて行っています。

自然観察会終了後には自由参加で、5月には「検索図鑑のすすめ~未知の植物を自分で調べるにはどうしたらよいか」、9月には「志木高内のさまざまなどんぐりや落ち葉の分類」などをテーマとして、本校の専任教員が講座を開いており、参加者の皆さんといっしょに学びの時間をもっています。参加者には親子連れも多く、非常に喜ばれており、開催時期が近づくと問い合わせが多く寄せられるイベントとなっています。

なお、本校の自然環境については、学校案内でも「志木高の四季~自然と共に学ぶ~」で2ページにわたり紹介しています。

このような身近な自然環境から、生徒はもちろんですが、地域住民にも広く日本や世界の環境に思いを巡らせる感性を養ってもらえればと考えています。最後にこうしたイベントを通して生徒たちが実り豊かな学生生活を送ることを教職員一同願っています。

(志木高等学校事務長 岡本真治)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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