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【新 慶應義塾豆百科】
塾旗の掲揚

2021/09/10

慶應義塾大学に入学した新入生がまず目にするのは、日吉記念館の屋上に掲げられた、「塾旗」ではないだろうか。銀杏並木を抜けた先に、天高く掲げられた塾旗を見上げ慶應義塾の一員となり、大学生活をスタートするのだと、心躍らせたことだろう。

現在、塾旗が掲げられるのは、主に年間で重要な行事があるときである。春・秋の入学式、卒業式、学位授与式や、ウェーランド経済書講述記念日、福澤賞・義塾賞表彰式、福澤先生誕生記念日、開校記念日、その他特別な講演など、年間のうち約10回ほどである。夜間は掲げることはなく、雨天では小雨であれば掲げられるが、塾旗以外の旗が掲げられたことはない。

塾旗が掲げられる場所は、三田キャンパスでは、正門、東館4階バルコニー、塾監局屋上の3カ所であるが、演説館で講演会があるときは、演説館の入口にも掲げられる。日吉キャンパスでは、通常記念館屋上の1カ所であるが、日吉会堂前、陸上競技場や協生館屋上にも掲揚できるようになっている。矢上キャンパスでは創想館の屋上の1カ所、SFCでは、本館(α館)前、看護医療学部本館前、藤沢中高中庭の3カ所掲げる場所がある。芝共立キャンパスでは、1号館正面に最近ポールが設置され、信濃町キャンパスは、2号館中庭にポールがある。

また、体育会関係施設にも、旗が掲げられる場所が多数あり、野球場などの各グラウンド、陸上競技場、テニスコートや馬場等にポールが設置されている。遠隔地では、立科山荘、館山合宿所、山中山荘などにも、旗が掲揚できるようポールは用意されている。

塾旗は三色旗とも呼ばれ、紺赤紺のストライプにペンマークをあしらったものだ。明治の頃より塾旗はあったが、昭和39年に塾旗の基準が定められ、現在の形となった。旗だけでなく、のぼり、幕、腕章、ペナントなどのデザインにも使われている。

日吉記念館の屋上に掲げられる塾旗は、3.5m×2.3m、畳6畳分で義塾が保有する旗では最大である。下から見上げると、それほど大きく感じないが、近くで見るとかなりの大きさである。この旗は日吉記念館の竣工祝いとして、施工者よりいただいたものだ。2キロ離れた新川崎駅からも旗がはためいているのが視認できる。旗を掲げることで、周囲に対し、祝事等が行われていることを知らせる役割にもなっている。

スポーツ競技の応援としても旗は必須アイテムである。皆が小旗を振って応援する姿は、風物詩とも言えよう。

旗は、その団体・グループの象徴、団結の印として尊重し、大切に扱われるものであり、アイデンティティーの証として重要な役割を果たしている。

(管財部 渡辺 浩史)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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