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【新 慶應義塾豆百科】
慶応工学会

2020/07/30

慶応工学会財団設立50周年記念シンポジウムより

慶応工学会は、広く大学等研究機関と産業界・官界とのパイプ役となり、我が国の産官学共同体制のさらなる推進を図り、科学技術の発展とその社会への還元に寄与することを目的として1962年9月に法人化された財団法人である。前身は太平洋戦争により大きな戦禍を蒙った慶應義塾大学工学部への援助を目的とし、1948年に設立された「慶應工業会」である。日本の産業界で活躍する慶應義塾出身者等の全面的援助を受け、困窮した工学部の研究設備や研究費の不足を補うことに主眼が置かれた。2012年4月1日に非営利に特化した一般財団法人となった。

現在、本会は年に十数回の評議員会、理事会、運営委員会、奨学金等授与式、中間報告会、懇談会等を開催している。その活動は本会の趣旨に賛同する賛助員企業により支えられている。また、運営委員には、理工学部教員だけでなく、本会の事業に関わる三田、矢上の事務局管理職も名を連ねる。そして冒頭の目的に沿って、次の事業を行っている。

1.学術振興事業:先端的科学技術に関わる大学等研究機関及び研究者への支援並びに研究セミナー等の開催を通して学術振興をはかる。

2.国際交流事業:日本の科学技術発展と国際交流促進のための研究者への支援並びに海外からの研究者招聘等の支援を通して先端的科学技術に関する国際交流をはかる。

3.育英奨学事業:科学技術系大学・大学院の学生に対する奨学・育英をはかるための学費等の助成並びに成績優秀な学生の褒賞等により先端的科学技術に関わる人材の育成をはかる。

4.研究推進事業:産官学連携による委託研究・共同研究の斡旋と紹介、受託研究受入れや使用研究者指定の研究資金援助寄付の受入れや研究成果の実用化・事業化による社会還元を支援することにより先端的科学技術の研究活動の推進・発展をはかる。

5.学術普及事業:科学技術に関わる講習会等の開催及び開催業務の支援を通して、その普及並びに研究成果の社会還元に寄与することをはかる。

本会からの助成、援助による貢献度は非常に高く、理工学部では多くの教員、大学院生が支援を受け、活動している。また、奨学金は理工学研究科、政策・メディア研究科、薬学研究科の大学院生が対象となり、奨学金の中でも大きな支援額の部類に入る。そして受託研究のテーマは理工学部にとどまらない。こうした科学技術の進展を全面的に支援する事業内容は理工学部の苦境を支えた成り立ちを知ると理解できる。

今後とも慶応工学会には理工学部と共に発展し、科学技術発展を広く後押しする役割を期待している。

(理工学部学生課長 俣田 英裕)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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