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【新 慶應義塾豆百科】
IMIC

2020/03/31

信濃町煉瓦館

一般財団法人国際医学情報センター(International Medical Information Center :IMIC)は、医学、薬学及び医療等に関する情報事業を行っている慶應義塾関連の財団であり、信濃町キャンパス内の煉瓦館に事務所を置いている。現在の理事長は、戸山芳昭元慶應義塾常任理事・元慶應義塾大学病院長が務めている。

IMICは、1972年に慶應義塾大学医学情報センターを母体として独立し、以降は公益財団法人として活動をしてきたが、2013年4月1日付で公益法人制度改革関連法に基づいて一般財団へ法人移行した。

慶應義塾大学医学情報センター時代は、図書館で購入した最新の国内外の雑誌等における医学、薬学および医療に関するデータをコピーし、製薬会社に販売をしていた。

IMIC設立以後は、わが国の医学、薬学及び医療等に関する情報活動の中枢的機関として、国内外の高度な医学・医療情報を広く収集し、専門的に分析、評価し、有益な情報に加工した上で、製薬・医療機器企業や医療・研究機関等へ提供することによって医学・医療水準の向上に寄与すると共に、その成果を国民に平易な形で提供することによって、広く健康社会の発展に寄与することを目的として事業活動を行ってきている。

IMICは設立されて以降、独占禁止法や医学・薬学の急速な進歩に伴う製薬会社のニーズの変化などの外的環境等の影響を受け、財政的には厳しい状況が続いていたが、その後、理事長を中心にスタッフの努力などにより、2013年度決算の黒字で累積損失を一掃した。以後、慶應義塾に寄付をできるほどに、財務状況は改善してきている。売上高は、2018年度には26億3155万円を計上した。職員数は、有期等も含め現在280名余となっている。

主な組織である、学術情報部は、翻訳サービス、論文投稿サポートサービス、医学等学術団体の事務局や受託研究、各種調査や統計分析などを担当している。安全情報部では、国内医薬品安全性情報速報データベース業務、医療機器安全性情報速報サービス業務、受託安全確保業務や感染症速報サービス業務を担当している。医薬情報部では、文献検索・情報調査業務、情報データベース作成業務やメディカルライティング関連業務などを担当している。営業推進部は、製薬会社学術部への営業と学術文献等の複写サービスや著作権の処理を担当している。

強力なライバル会社もあるが、医学部との連携を強化しながら、健康社会の構築のために、さらなる先導的な役割を果たしてほしいと願っている。

(慶應義塾名誉参与、元IMIC常務理事・事務局長 原邦夫)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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