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【新 慶應義塾豆百科】
全慶連

2020/02/28

1990年頃の三田祭での各県学生会の中庭出店風景

同郷の学生同士が集まって作る県人会を、慶應義塾では「学生会」と呼び、全国慶應学生会連盟(通称:全慶連)とは、その集合組織である。その歴史は長く、1948年6月に会長を塾長が務めて設立されて以来、70年以上続く塾生による自治組織である。また、塾生の自治活動の最高意思決定機関である全塾協議会において、体育会本部・文化団体連盟本部などと並び、議決権を有する上部7団体の一つとされ、塾生自治活動への影響力が強い団体である。現在は約20の地域の学生会を束ねているが、団体数は増減を繰り返し、2000年頃には40を超える学生会が参加していた時代もある。また、近年は中国出身者の学生会が傘下に入るなど国際交流の場としても機能していた時期もあり、いつの時代も様々なバックグラウンドを持った塾生たちを受け入れ、交流を促進する場となっている。

活動目標は、設立以来「塾生相互の親睦」「地域文化の向上・交流」「塾風の宣揚」の3つを掲げている。塾内における同郷の塾生とのつながりを深め、他地域の学生会との交流も促すことにより、塾内での人間関係の幅を広げる。また、出身地域の方々や三田会との交流を深め、相互理解を深めることによって、塾員を含めた塾外との人間関係の形成も目的としている。そして、慶應義塾の自由かつ文化的な学生生活に主体的に貢献するといったことが活動の主旨となっている。

上記の活動目標を体現するべく、70年余りの時代の変遷とともに様々な活動に取り組んできた歴史がある。かつては機関誌『オール慶応』を年2回刊行するなどの活動報告を行っていた時代もあった。過去から連綿と続く活動としては、各県人会が三田祭へ出店し、郷土の料理をふるまい(ここ数年は実施されていないが)、こだわりの地酒販売などにより、塾内外への出身地域のPR活動が盛んに行われてきていた。

近年の取り組みとしては、大学が主催する「早慶合同説明会」や「進学相談会」といった学外の会場で行われる説明会への相談役としての参加や、学内で開催される入学広報イベント等での地方出身者向けの相談会・講演などへの参加といった大学と連携した活動も行われるようになってきた。また、塾生たちが独自に地方交流プログラムを企画し、地方の高校へ出向き、高校生たちと交流を深めるなど、未来の塾生である受験生に対しても対面で塾風を宣揚している。一方で、SNSでの発信を積極的に取り入れて、インターネット上でのつながりも強固にし、盛り上げていこうとする熱意が強く感じられる。

全慶連とは、多くの塾生が卒業してから感じる慶應ならではの〝つながり〟を塾生時代から認識できる、憩いの場のような、あたたかな学生団体だといえるのではないか。

(理工学部学生課 久保田一貴)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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