【新 慶應義塾豆百科】
学生健保
2020/01/31

「学生の健康保持及び増進を図り、かつその疾病負傷につき相互に救済」することを目的として1959年に設立された互助組合(学生健康保険互助組合)である。活動は互助の精神に基づいた「医療給付事業」と「予防給付事業」の2つに大別され、組合員(=学生)が納める組合費を財源にして運営されている。諸活動は全て、意思決定を担う理事会の承認を得て実施されるが、大学教職員だけではなく学生委員も理事に就任し、組合員の声を直接運営に反映できるといった特徴がある。
「医療給付事業」は、組合員が保険医療機関等で受診して負担した医療費の一部を補助するものである。組合が設立された当時は、結核罹患者の経済的な援助が中心であったようだが、時が経つにつれ、疾病の種類が多様化し、かつ高度な治療を受診できる環境に変化してきたことから、近年、補助する医療費の総額が高止まりし、組合の財政を圧迫する要因となっている。事業を今後も長期的かつ安定的に継続させるため、歯科診療を対象外にするなどの制度改正が行われている。
一方、健康増進・疾病予防を目的とする活動が「予防給付事業」である。事業の中でも契約旅館(宿泊施設を安価に利用できるようにする制度)は歴史が古く、かつては沖縄県の民宿と契約していたこともあった。また、旅館からの厚いご支援の下で行われた「海の家」(御宿海岸)、「スキーハウス」(妙高高原)は、毎年多くの組合員に利用されていた企画であり永らく好評を得ていた。現在は関東甲信越の14の旅館との契約となっているが、依然利用者は多い。
次に挙げられるのが、1989年にフィットネス施設として開設した日吉の「学生健保トレーニングルーム」である。利用料は1回200円(開設当初から据え置き)で、利用者は常駐するトレーナーからトレーニング指導を受けられる。また、組合員がトレーニングを始める動機となるような特別なイベントを開催することもある。
学生健保の日々の活動は、学生団体である「学生健康保険委員会」が担っている。近年多くの大学で実施するようになった「100円朝食」は、2006年10月に本委員会が無料朝食企画として試験的に行ったのが始まりと言われている。現在も日吉キャンパスにおいて定期的に実施されている他、SFCでも昼食代をサポートする「キッチンカーコラボ企画」が開始されている。また三田祭では、毎年、体力測定や「肌年齢測定」といった企画が展開されている。他にも様々な活動を通じて、組合員の健康づくりを後押ししている。
(学生部課長 加来信人)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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