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【新 慶應義塾豆百科】
福利厚生機関 共済部

2019/11/29

義塾では、塾生の自治活動を代表している全塾協議会の福利厚生機関の1つに、学生に下宿やアルバイトを紹介する学生団体「共済部」がある。

共済部は昭和21年に誕生した学生生活協同組合の一部門として発足し、昭和23年頃独立して自治会の執行部に加わり、学生部との連携のもと、日吉と三田(現在は日吉のみでの活動)で、紹介業務を行っている。かつては、学生が登録を行い、企業等から紹介状の発行を受け、仲介し、アルバイト終了後は報告書提出が必要であった。今は自由に閲覧し、選択できるようになっている。

本来、「共済」とは「互いに助け合う」「お互いにお金を出し合って何かをする」という意味であるが、共済部の活動内容である「アルバイト紹介」、「下宿紹介」はいずれも仲介手数料無料で運営が行われている。そのため、共済部における共済の意味は「塾生・塾員が知恵を出し合って互いに助け合う活動」とたとえることができる。

アルバイト紹介は、卒業生が勤務する企業や個人から寄せられる求人や、家庭教師を要望する求人依頼が多い。ただし、工事現場や運転手、ベビーシッター・託児所、探偵など塾生に危険、過度な責任をともなう業務、または公序良俗に反した業務は募集を断っている。

下宿紹介は、毎年、入試が終わる2月下旬から3月下旬の1カ月間、日吉にて行われる。塾生に対して部屋を賃貸したい家主を募り、入学予定者や在校生を対象に情報を公開している。卒業生が塾生のために部屋を貸したいという連絡もある。下宿紹介で部屋を借りるメリットは、部員が家主に代わり物件情報の収集と提供を行うことにより、仲介手数料が無料になることである。さらに、実際にひとり暮らしをしている部員が、部屋探しのポイントや入学後の生活についてのアドバイス・相談に乗るなどのサービスも提供している。一般的に大学の下宿紹介は、大学と提携した企業や、生協に委託しており、学生団体がその役割を担うのは全国的に見て珍しい。

共済部の部員たちによると機械的に紹介するのではなく、ひと手間加えた情報提供を心掛けているそうだ。例えば、下宿紹介する際に塾生の学部を尋ね、進級先キャンパスが日吉から変更になるか確認を行う。日吉近隣に継続して住むべきか、進級先キャンパス近隣へ引っ越すべきか迷う塾生に対し、先輩として、それぞれのメリット、デメリットを伝え、下宿先選びで後悔しないように支援している。

卒業生と現役生をつなぐ役割として三田会をイメージする方は多いが、共済部も社会で活躍している卒業生とその背中を見て育つべき現役生が交流できる機関としての役割を果たしている。

(日吉学生部主任 双石哲人)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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