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【新 慶應義塾豆百科】
DMC

2018/12/27

DMCとは、「デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター」の略称である。文理にとらわれない様々な学問分野の融合による新しい知の創造と流通の国際的先導を実現し、新たな産業、教育、文化、芸術分野等の創出に貢献することを目的としている。前身は2004年に発足した「デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構」である。10年に現在の研究センターに組織変更となり、翌11年には三田キャンパス西別館から、日吉キャンパス西別館に移転した。偶然ではあるが、どちらのキャンパスでも西別館であることは、何やらご縁を感じる。DMCは義塾の附属研究所の1つとして、小規模ではあるが、様々なことに取り組んでいる。2018年現在の主な研究教育活動内容を以下に3つ紹介する。

FutureLearn は、英国ロンドンに本部を置く無料のオンライン講義配信事業体で、現在、世界の大学・公的機関・企業160機関ほどが参加している。日本からは慶應義塾大学だけであり、2015年に長谷山彰塾長(参加当時は常任理事)の熱い想いにより実現したものである。以後、大川恵子副所長のもと、DMCが業務担当することになり、2016年度から毎年2種類の新規講義内容を、講義を担当する教員、大学院メディアデザイン研究科の大学院生、慶應義塾大学出版会他と連携・委託して制作・配信している。今年8月には、慶應からの全6種類の講義配信への学習登録者数が合計5万人を超え、その後も増加し続けている。

MoSaIC(Museum of Shared and Interactive Cataloguing :モザイク)は、世界中のデジタル文化資源に、独自の文脈(コンテクスト)を与えて、仮想的な展示スペースを作ることを可能にしている。2021年度に開設予定の「慶應ミュージアム・コモンズ」(仮称)におけるアナログとデジタルの融合による新たな展示モデルに、MoSaIC が貢献できるように準備中である。

また、米国DCI(Digital Cinema Initiatives)が提唱するデジタルシネマ機器の仕様書に基づき、デジタルシネマ機器メーカーから依頼される機器に対して、有料でコンプライアンス認証試験を実施している。これは、世界で3カ所しか認定されておらず、DMCはその1つとして(残りは米国)、重要な役割を果たしている。

なお、毎年の研究成果・知見は、2011年度から年1回開催しているDMCシンポジウム、及び2013年度に電子ジャーナルとして創刊した『DMC紀要』などで公開している。その他、DMCが提供しているサービスは、日吉メディアセンターAVホールを使用した、講義・イベント等の自動収録・配信の無料提供(メディアセンターと連携)、塾内の研究活動・成果等を対象とした高品質なビデオ撮影・編集制作(有料)などがある。

(塾監局参事 村上篤太郎)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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