三田評論ONLINE

【新 慶應義塾豆百科】
出願から入学まで

2018/02/02

冬は大学入試の季節。受験生が出願をして、教室で試験を受け、合格発表があって、入学手続をする、という流れは昔からまったく変わらない。しかし、その細かい段取りはこの30年で大きく様変わりしている。何がどう変わったのだろうか。

受験をするには、まず願書=入試要項を手に入れるところからスタートする。一般入試の要項は、長らく書店で販売され、地方や近くに書店がない場合は郵送で対応をしていたが、ネット出願の導入によって大きく変わった。当初はどの大学も、紙でもネットでも出願できる併用型であったが、近年は紙の要項を廃止してネット出願に集約する〝オールネットに移行し始めた。義塾は2017年度入試からネット出願を導入し、紙の要項を廃止した。後発であるがゆえに、最新のネット利用方法を採用し、受験生の顔写真はWEBでアップロードし、受験票も大学からの郵送ではなく受験生自身がプリンタから打ち出す形になった。

試験が終わると合格発表を待つ。特設の専用掲示板に合格者の番号表が貼り出され、その前で一喜一憂する姿が新聞やテレビの定番画像であったが、これは30年の間にゆっくりと変わった。最初は86年度入試で、電子郵便を利用した合格者・補欠者番号表が大学から郵送されるようになった。だが、入学手続書類は三田に出向かなければ受け取れない。それが変わったのは91年度入試である。電子郵便で合格者番号表がその日のうちに届き、義塾からは合格通知書と入学手続書類が翌日には自宅に郵送で届けられるようになった。この大改革で合格発表と入学手続は大きく様変わりし、受験生・家族の利便性は飛躍的に向上した。

その後、2004年度になってインターネットによる合格発表が導入される。翌年には電話応答システムも併用され、どこにいても簡単に合否を知ることができるようになる。そのため合格者番号表の掲示は次第に補助的な位置づけとなり、一方で個人情報への配慮のため、2009年度で、ついにその長い歴史を閉じた。

入学手続は、91年度の改革で入学金を支払う第1次手続が振込と郵送で完了するようになったが、義塾に入学を決めた場合の第2次手続は三田の入学手続窓口へ来て行う必要があった。2009年度にこれも郵送で済むようになり、入学後の履修案内なども宅配便で自宅に届けられるようになった。3月後半の国公立の後期日程合格発表待ちや3月中盤以降の補欠からの繰上がり入学許可の場合を除いて、試験日以降、一度も大学に足を運ぶことなく、入学式を迎えることができるようになったのである。

今2018年度入試では、入学手続書類の大半がWEB入力になり、補欠許可の通知の電報もその歴史的使命を終え、ネットに変わる。

(編集部)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

  • 1
カテゴリ
三田評論のコーナー

本誌を購入する

関連コンテンツ

最新記事