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【執筆ノート】
『人に言いたくなる アメリカと野球の「ちょっとイイ話」』

2018/10/12

  • 向井 万起男(むかい まきお)

    元慶應義塾大学医学部准教授・塾員

63年前の1955年、大リーグの名門球団として知られるニューヨーク・ヤンキースが来日しました。その顔ぶれの凄さは半端ではありません。なにしろ、のちに背番号がヤンキースの永久欠番となった男が6人も含まれていたくらいですから。

当時8歳だった私は来日したヤンキースの試合をナマ観戦したのですが、心底驚きました。「アメリカにはこんな素晴らしいプレーをする野球選手達がいるんだなあ」と。

これが、すべての始まりです。8歳で私は大リーグの虜になり、同時にアメリカという国を強く意識するようにもなりました。大リーグとアメリカはセットで私の目の前に突然現れたのです。私のアメリカ観の背景に常に大リーグがあるのは、このためです。そして、そうした自分のアメリカ観を「これって、悪くないよな」と思っています。アメリカでは文学や映画や絵画や音楽など文化全般にわたって大リーグが少なからず影響を与えているという確信が私にはあるので。

こういう私ですので、朝日新聞から「夕刊で大リーグについてのコラムを連載しませんか」というオファーを頂いたとき、「大リーグそのものというコラムだけではなく、大リーグに絡めてアメリカを語るコラムも書こう」と決めました。

コラム連載は2007年4月から始め、今も続けています。「大リーグが大好き!」という総合タイトルの下、ほぼ週に1回のペースで。

本書は、連載開始から2018年4月までの約11年間に掲載されたコラムのほぼ半分を収録したものです。ということは、ほぼ半分は省いています。どのコラムを収録し、どのコラムを省くかを決めるに際しては「大リーグに絡めてアメリカを語るコラム」を優先するということを基本方針としました。また、私がアメリカでドライブ旅行をしながら訪ねた大リーガーゆかりの地についてのコラムはできるだけ収録するようにしました。

最後に。大リーグに興味がないという方にも本書を読んで頂きたいです。これまでご存じなかったアメリカの意外な面に触れることになり、アメリカ観がこれまでとは少しは違うものになるに違いありません。

『人に言いたくなる アメリカと野球の「ちょっとイイ話」』
向井 万起男(著)
講談社
304頁、1,400円(税抜)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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