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【執筆ノート】
『AI時代のリーダーになる子どもを育てる──慶應幼稚舎ICT教育の実践』

2018/06/26

  • 鈴木 二正(すずき つぐまさ)

    慶應義塾幼稚舎教諭

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるとともに、全ての学校で1人1台のタブレット端末を活用した学習の推進や、デジタル教科書の導入など、ICTを活用した教育について、注目度が高まっています。

しかし、ICT活用をどの学年から始めるのが適切なのか、どの教科で活用するのか、実際の現場では明らかになっていません。そこで、慶應義塾幼稚舎で、筆者が担任するクラス(現在、小学校6年生)では、小学校1年生から1人1台タブレット端末を導入して、国語や算数、生活科(総合)などのカリキュラムの中にICT活用を組み込んで、授業での試行を始めました。

低学年生の頃からタブレットを身近な文房具として活用し、6年間を通じて、新しい文房具のひとつとして、上手に活用できるような学習習慣を構築しておくことが大切だと考えたからです。低学年生のときだけでも、30時限以上、タブレット端末を活用した実践を行いました。実践は今も継続中です。実践を経て、子どもたちは、タブレット端末を早い段階から正しく使いこなし、様々な学習課題についての判断力・創造性・活用する力を養っていきました。

これまでの記録は、博士論文としてまとめましたが、本書は、その論文を分かりやすく読みやすいように再構成し、さらに最新トピックを加えた教育書となっています。

タブレット端末の活用で、情報活用能力の獲得とともに、児童の活用に対する興味・関心、意欲など、学習に対する積極性の向上にも可能性のひろがりがみえます。また、タブレットの操作面で困ったときも児童が自分たちで解決したり、友だち同士で教え合ったりする姿が日常的な光景としてあります。

学校の先生や学生の方は、ICT活用の実践の参考にして頂き、また、保護者の方には家庭教育に役立てて頂きたいと思います。

世界では、学校でのタブレット端末の活用が早い段階から取り入れられており、子どもたちの新しい可能性や才能が次々と引き出されています。AI時代のリーダーとして、たくましく生き抜く子どもたちを育てるための参考にして頂ければ幸いです。

『AI時代のリーダーになる子どもを育てる──慶應幼稚舎ICT教育の実践』
鈴木 二正(著)
祥伝社
200頁、1,400円(税抜)

※所属・職名等は当時のものです。

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