【塾員クロスロード】
斎藤 和真:自分をかえる、地域をかえる
2025/09/18

大学院修了後、慶應義塾大学と連携協定を結んでいる富士吉田市の地域おこし協力隊に着任しました。恩師に推されての挑戦でしたが、「志村くんの街!」と小躍りしたのを覚えています。高校時代、僕のアンセムは、富士吉田出身のバンド「フジファブリック」。故ボーカル・志村正彦さんの故郷というだけで「最高!」と即答し、よくわからないまま二つ返事で移住。気づけば、富士山の麓に住んでいました。不思議なご縁。富士山パワー。
着任当初は、右も左も上も下もわかりませんでした。できることに全力で取り組み、足りないスキルは必死に鍛え、地域にがむしゃらに向き合う日々。もちろん1人では何もできず、地域の先輩方にたくさん育てていただきました。移住前より体重は20キロ増。あたたかい人とご飯に囲まれて、ありがたいです。
「おかえり」と家族のように声をかけてくれる方々も増え、気がつけば、富士吉田は僕にとって大切な"ふるさと"になっていました。だからこそ、地域の魅力や素敵な日常を、次の世代に伝えたい、自分がこの街でもらったものを、次の未来につなぎたい。そんな思いから立ち上げたのが「かえる舎」です。
名前には、「地域の魅力を知り、自分をかえる」「地域のために活動し、地域をかえる」という"change"の意味、そしていつか地元に"還る"ような流れも生み出したい、という願いを込めています。
活動を始めて10年。今では市内の小中高すべてに、学校と地域をつなぐプロジェクトを届けています。授業の中で地域課題に挑戦したり、70名ほどの高校生グループが地域活動に取り組んだりしています。どの世代でも、みんなで地域でダンスダンスダンス。
一緒に活動するみんなが地域に関わる理由は、「楽しいから」「仲間がいるから」。そんな動機が、地域の未来を少しずつ明るくしていく気がします。
最近では、かつての高校生が"地域を伝える側"になったり、地域の方々が活動を楽しみにしてくれていたりします。自分がこの地に来たときよりも、少しでも良い地域にしたいと思い活動してきました。少しずつ"富士吉田孝行"ができているでしょうか。まだまだかな。これからも続けていくことこそが、きっと僕なりの答えになるはずです。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
- 1
カテゴリ | |
---|---|
三田評論のコーナー |
斎藤 和真(さいとう かずま)
特定非営利活動法人かえる舍代表理事・2014政・メ修