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【塾員クロスロード】
三浦 陽一:世界とつながる通訳ガイド

2025/07/17

  • 三浦 陽一(みうら よういち)

    全国通訳案内士(英語・イタリア語)・1973法

塾を卒業後、商社に勤務してロンドンやミラノに駐在し、退職して起業した後も海外との仕事に携わっていました。しかしいつまでも海外出張を続けることも難しいと考え、来日する外国人に日本の魅力を発信したいとの想いから、66歳の時に英語の通訳案内士の資格を取得、通訳ガイドの仕事を始めました。仕事が面白くなったころ、コロナ禍でぱったりと海外との人的交流が途絶え、2年間は全く通訳ガイドの仕事ができませんでした。

この間、様々な企業のOBが立ち上げ、社会貢献を行っている一般社団法人ディレクトフォースの観光立国研究会に所属し、海外との交流再開に備えて研究・準備を進めていたことが、再開時に役立ちました。

2022年秋、ようやく外国人入国が再開し、その後右肩上がりで訪日客が増加しているのはメディアで報じられている通りです。この間、73歳にしてようやく念願のイタリア語の全国通訳案内士資格を取得。昨年は米国やカナダ、豪州、イタリアなどからの訪日客を都内はもとより、箱根、日光、鎌倉、静岡、富士山、高山、金沢、京都など様々な場所へご案内することができ、ガイドを行った日数は通算64日に及びました。

この仕事が面白いのは、様々な方たちに出会えることです。TVで見たことのある有名人や、某国元首相夫人、元外交官など、この仕事をしていなければ恐らく会う機会がなかったような方々と親しく話をしました。彼らの興味や関心は多種多様で日本の歴史や政治制度はもちろん、日本的なマナーや住宅ローン、アニメの話まで対応しなければなりません。通訳ガイドという仕事は、どんな質問にも即応できる応用力が求められますが、いくら好奇心旺盛でも全ての質問に即答できるわけはなく、今は事前にネットで日本について基本的な情報を得た上で来日する訪日客も多いので、ガイドブックやネットではなかなか得られないような情報やトピックスを提供するように心がけています。

歩くことがこの仕事の基本で、多い日には1日2万5000歩以上歩くこともありますが、体力が持ち、口が動く限りはこの仕事を続けて行こうと思っています。通訳ガイド仲間にも塾員の方々が何人もいて心強い限りです。ご興味のある方はぜひチャレンジされてみてはいかがでしょうか。


※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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