【塾員クロスロード】
小澤 琴巳:Padelで世界に挑戦
2025/06/26

大学在学中にテニスの先輩に誘われ初めて体験したパデル。その出会いが私の人生を大きく変えた。パデルが盛んなスペインではサッカーに次ぐ人気競技で世界では競技者が3000万人を超える。コートはテニスの約半分のサイズ、ガラスに囲まれ360度の立体空間を使用して多様な戦術を使う競技の奥深さは、一度体験したら忘れられない。ダブルス競技のため、ペアとの会話も鍵となる。互いの距離感が近く、戦略は速さや力のみに左右されないため、老若男女楽しめる。
21歳の頃、本格的にトレーニングを始めた。コートに行くにも往復2~3時間かけて通い、移動時間は勉強の日々であり高校生活のようで懐かしい。限られた時間での練習だったが、幸運な事に競技の戦績も右肩上がりで、最年少で日本一を掴んだ。「日本を超えてパデルの本場にいこう!」とスペインに訪れ修行した経験が、自身の競技レベルとパデルの見解をさらに深めた。スペインでは学校帰りに子供達が集まり交流する姿、カフェやバーを楽しみながらパデルをする姿が当たり前であり、誰もが楽しめ交流できるソーシャルスポーツに魅了され「もっと早く出会いたかった。日本にパデルを広め、子供から大人まで親しめるスポーツに発展して欲しい」と強く思うようになった。同時に選手として、アジアから初めて最高峰の国際大会出場、TOP50入りを志し、2024年よりアジア女性で初めてプロ選手としての活動を決断した。
昨年半年間は欧州を拠点とし、プロと共にトレーニングに励んだ。言語も文化も異なる外国での仕事、練習、遠征の日々。マイナー競技の選手生活と同時に異国で生計を管理する難しさにも直面した。当時アジア女性が国際大会に挑戦した前例がなく「アジアから?」と不思議に思われる事も多く、ハイレベルな競争環境に入る事や現地の輪に溶け込む事は容易ではなかった。しかし、本場で試合経験を積めた事、ランキング上位選手やコーチに実力を認めてもらった時は、喜びと共に、世界に挑戦できる楽しさを再度実感した。選手として、アジアからまだ誰も成し遂げていない壁を超えるように挑戦し続け、世界との繋がりを通して、皆が楽しめる"スポーツ"と、健康、世界の文化を交えた国際交流ができる普及活動に取り組み、温かな輪を広げていきたい。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。
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小澤 琴巳(おざわ ことみ)
パデル選手、パソナグループアスリートアンバサダー・2021看