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【塾員クロスロード】
高橋 雅典:電気自動車で二刀流の挑戦

2025/03/13

  • 高橋 雅典(たかはし まさのり)

    株式会社Hakobune代表取締役社長・1999政

私は、2023年4月に電気自動車(EV)×エネマネ(エネルギーマネジメント) を軸に「株式会社Hakobune」を起業しました。現在、日本で保有されている約8,000万台の自動車の内、約2,500万台が通勤用途で、ほとんどがガソリン車。新車販売の内、BEV(100%電気自動車)比率は僅か2%(2024年実績)ですから当然の結果で、「EVは普及しない」という声も多く聞きます。一方、同時期にグローバル平均は14%と明らかに日本と状況が異なっているのも事実です。

その状況下では、EV単体でなく、EVの特徴を生活様式に合った形で活用する方がより有益であると考え、「EVサブスク×職場充電×V2X(EVを活用した充放電)」のサービス提供を開始しました。

通勤車両の平均通勤距離は往復25キロ/日。勤務中に職場でスマホのように充電すれば約2時間で満タン。ガソリンスタンドへの寄り道も不要、集合住宅や自宅への充電設備も不要。太陽光発電と組み合わせれば余剰電力活用等や比較的安価な電力受給も可能となるのです。

企業にとっては脱炭素社会への貢献、福利厚生や従業員満足度向上、採用活動の一助となります。また従業員にとっては車両維持費低減分を生活の必要費用への充当可能になります。

将来は、街の至る所で安価にEV充電ができ、EVが電気を運ぶことになるでしょう。夜間は昼間に職場充電で貯めた電力を自宅で活用し、光熱費削減もできます。さらに、災害時などは災害復旧初期ライフライン(電力)の礎にEVが活躍するのです。

「クルマがヒトと電気をハコぶ(People mover × Electric mover)」。起業のきっかけは、40歳の時。今後の人生を考えた際に、何か社会に遺すものを創りたい。独りでなく、喜びも悲しみも共に仲間と分かち合いながら進めていきたいと決めました。Hakobuneの社名には「いつか振り返った時、あってよかった」と思って頂ける、ノアの箱舟のような存在でありたいという希望を込めています。

電気自動車(EV)ならではの二刀流による価値創造で、より豊かな暮らしや社会の実現を目指すHakobuneは、まだまだ小さな舟です。直接的、間接的を問わず、ご指導、ご鞭撻、ご声援が何よりのチカラです。皆様のHakobuneへの乗船をお待ちしております。


※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。

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